腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

アセトアミノフェンの処方拡大へ、心不全などの禁忌解除で添付文書改訂/厚労省

 アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、2023年10月12日、厚生労働省が改訂を指示し、「重篤な腎障害のある患者」「重篤な心機能不全のある患者」「消化性潰瘍のある患者」「重篤な血液の異常のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者」の5集団に対する禁忌解除を行った。添付文書における禁忌への記載が、成書やガイドラインで推奨される適切な薬物治療の妨げになっていたことから、今年3月に日本運動器疼痛学会が禁忌解除の要望を厚生労働省に提出していた。

eGFR低下とアルブミン尿、腎不全や心血管疾患と関連/JAMA

 CKD Prognosis Consortiumの114コホートからの個人データを対象としたメタ解析において、血清クレアチニン(Cr)値に基づく推定糸球体濾過量(eGFRcr)あるいは血清Cr値と血清シスタチンC値に基づくeGFR(eGFRcr-cys)の低下、および尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)の上昇は、腎不全や心血管疾患、入院等を含む10の有害アウトカムの発生率上昇と関連していることが示された。米国・ニューヨーク大学のMorgan E. Grams氏らCKD Prognosis Consortiumの執筆グループが報告した。米国では成人の約14%が慢性腎臓病(CKD)(eGFR低下またはアルブミン尿)に罹患しているという。しかしながらeGFRの低さやアルブミン尿の重症度と有害アウトカムとの関連性については不明であった。JAMA誌2023年10月3日号掲載の報告。

血尿診断で内科医も知っておきたい4つのこと―血尿診断ガイドライン改訂

 『血尿診断ガイドライン』が10年ぶりに改訂された。改訂第3版となる本ガイドラインは、各専門医はもちろんのこと、一般内科医や研修医にもわかりやすいように原因疾患診断のための手順を詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示した。また、コロナ禍での作成ということもあり、最終章では「新型コロナワクチンと血尿」について触れている。今回、本ガイドライン改訂委員会の事務局を務めた小路 直氏(東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学)に、内科医が血尿時の問診や専門医への紹介を行ううえで注意すべきポイントなどを聞いた。

IgA腎症のメサンギウム領域に障害をもたらすIgA1は腸管由来が主体?(解説:浦信行氏)

 つい先日のNEJM誌オンライン版(2023年6月16日号)に、欧州における多施設共同研究であるCONVINCE研究の結果が報告された。その結果は、従来のハイフラックス膜の血液透析(HFHD)に比較して、大量置換液使用のオンライン血液透析濾過(HDF)は全死亡を有意に23%減少させたと報告された。それまでの両者の比較はローフラックスHDとの比較が多く、またHFHDとの比較では一部の報告では有意性を示すが、有意性がサブクラスにとどまるものも見られていた。また、置換液量(濾過量+除水量:CV)の事前設定がなされておらず、階層分析で大きなCVが確保できた症例の予後が良好であった可能性も報告され、患者の病状によるバイアスが否定できなかった。本研究においては目標CVが23±1Lと定められ、患者背景にも群間に差はなかった。そのうえでの予後の改善の報告は大変意義の大きいものである。

在宅アルブミン尿スクリーニング、最適な方法は?/Lancet

 一般住民におけるアルブミン尿増加の在宅スクリーニングは、採尿器(UCD)法で参加率が高く、アルブミン尿高値ならびに慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患のリスク因子を有する個人を正しく同定した。一方、スマートフォンのアプリケーションを用いる方法(スマホアプリ法)は、UCD法より参加率が低く、精密スクリーニングによる個人のリスク因子の正確な評価のためには検査の特異度が低かった。オランダ・フローニンゲン大学のDominique van Mil氏らが、前向き無作為化非盲検試験「Towards Home-based Albuminuria Screening:THOMAS試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「UCDスクリーニング戦略により、CKD患者の進行性腎機能低下と心血管疾患を予防するための早期の治療開始が可能となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月16日号掲載の報告。

IgA腎症、新規腸管作用型ステロイドが有効/Lancet

 IgA腎症患者において、ブデソニドの新規の腸管作用型経口剤であるNefeconは、9ヵ月間の治療でプラセボと比較し、臨床的に意義のあるeGFR低下および蛋白尿の持続的な減少をもたらし、忍容性も良好であった。米国・スタンフォード大学のRichard Lafayette氏らが、20ヵ国132施設で実施された2年間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「NeflgArd試験」の結果を報告した。IgA腎症は、慢性免疫介在性腎疾患で腎不全の主な原因であり、発症機序には腸粘膜免疫システムが関与している。Nefeconは、ブデソニドが腸管で徐々に放出され腸粘膜で作用するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2023年8月14日号掲載の報告。

若年成人では軽度の腎機能低下も健康リスクになりやすい

 若年成人では、従来は問題視されることが少なかった、軽度の腎機能の低下であっても、その後の健康リスクが上昇することを示すデータが報告された。オタワ病院(カナダ)のManish Sood氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に6月23日掲載された。  この研究は、カナダのオンタリオ州の医療管理データを用いた後方視的コホート研究として実施された。解析対象は、2008年1月~2021年3月にeGFRが測定されており、その値が50~120mL/分/1.73m2で、腎疾患の既往のない18~65歳の地域住民870万3,871人(平均年齢41.3±13.6歳、eGFR104.22±16.1mL/分/1.73m2)。

暑い季節になりやすい腎臓結石のリスクを下げる方法

 夏の暑い時期には、腎臓結石による耐え難い痛みが発症しやすい。ただし幸いなことに、水分摂取量を増やしたり、食生活を少し変えたりすることで、結石をできにくくすることが可能だ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMegan Bollner氏は同大学発のリリースの中で、それらのヒントを紹介している。同氏は、「一度結石ができてしまうと10年以内に再発する確率が最大50%程度に上る。とはいえ、再発する腎臓結石の危険因子の多くは、自分自身でコントロールできるものだ。特に食習慣を変えることが、大きな違いを生む可能性がある」と話している。

糖尿病腎症の病期が網膜症と黄斑浮腫の発症・重症度に関連

 糖尿病腎症の病期が、糖尿病網膜症・黄斑浮腫の発症リスクおよび重症度と、独立した関連のある可能性を示すデータが報告された。JCHO三島総合病院の鈴木幸久氏、自由が丘清澤眼科(東京)の清澤源弘氏の研究によるもので、詳細は「Biomedicines」に5月22日掲載された。  かつて長年にわたって成人の失明原因のトップであった糖尿病網膜症(DR)は、近年の治療の進歩により失明を回避できることが多くなった。とはいえ、緑内障や加齢黄斑変性と並び、いまだ失明の主要原因の一角を占めている。また糖尿病ではDRが軽症であっても黄斑浮腫(DME)を生じることがある。黄斑は眼底の中央に位置し視力にとって重要な網膜であるため、ここに浮腫(むくみ)が生じるDMEでは視力が大きく低下する。DMEの治療も進歩しているが、効果が不十分な症例が存在すること、高額な薬剤の継続使用が必要なケースのあることなどが臨床上の問題になっている。

わが国のオンラインHDFの現況(解説:浦信行氏)

 つい先日のNEJM誌オンライン版(2023年6月16日号)に、欧州における多施設共同研究であるCONVINCE研究の結果が報告された。その結果は、従来のハイフラックス膜の血液透析(HFHD)に比較して、大量置換液使用のオンライン血液透析濾過(HDF)は全死亡を有意に23%減少させたと報告された。それまでの両者の比較はローフラックスHDとの比較が多く、またHFHDとの比較では一部の報告では有意性を示すが、有意性がサブクラスにとどまるものも見られていた。また、置換液量(濾過量+除水量:CV)の事前設定がなされておらず、階層分析で大きなCVが確保できた症例の予後が良好であった可能性も報告され、患者の病状によるバイアスが否定できなかった。本研究においては目標CVが23±1Lと定められ、患者背景にも群間に差はなかった。そのうえでの予後の改善の報告は大変意義の大きいものである。