ニュース 週別アーカイブのコーナー。毎日発信されるニュースを週別に表示。見逃した記事もまとめてこちらでチェック。

2024-05-13 ~ 2024-05-18

2024/05/17

超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

ジャーナル四天王

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

新生児の緊急挿管、ビデオ喉頭鏡vs.直接喉頭鏡/NEJM

ジャーナル四天王

 新生児の緊急挿管において、ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡よりも初回挿管成功率が高いことが示された。アイルランド・National Maternity HospitalのLucy E. Geraghty氏らが、単施設無作為化臨床試験の結果を報告した。新生児に気管挿管を繰り返し試みることは有害事象の増加と関連しているが、臨床医が喉頭鏡で気道を直接観察する場合、初回挿管に成功する割合は半分以下とされている。ビデオ喉頭鏡は、ブレードの先端にカメラが付いており気道の様子が画面に映し出されることから、成人および小児では直接喉頭鏡を使用した場合より初回挿管成功率が高いことが報告されているが、新生児におけるビデオ喉頭鏡の有効性については不明であった。NEJM誌オンライン版2024年5月5日号掲載の報告。

取り過ぎた塩分を出す「排塩コントロール」と具体的な指導方法

医療一般

 10年ほど前に話題になったDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食。それが今、塩分を排出させる食事として再注目されているようだ。DASH食とは、飽和脂肪とコレステロールの少ない果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を豊富に摂取することで降圧効果が期待される“塩分の排出に重点を置いた食事療法”で、米国・国立衛生研究所(NIH)などが考案したのを契機に、国内の高血圧治療ガイドライン2019年版でも推奨されている。また、この食事療法に減塩を組み合わせたものはDASH-sodium食と呼ばれ、これまでに十分なエビデンスが報告されている。

マヨネーズをオリーブ油にすると認知症死亡が14%低下

医療一般

 オリーブ油の摂取と認知症関連死亡との関連はわかっていない。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのAnne-Julie Tessier氏らが、9万人超の前向きコホート研究を実施したところ、オリーブ油を1日7g超摂取する人は、まったく/ほとんど摂取しない人と比べて、食事の質によらず認知症関連死亡リスクが3割近く低いことがわかった。また、1日5gのマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると、認知症関連死亡リスクが14%低下すると推定された。JAMA Network Open誌2024年5月6日号に掲載。

SSRI使用と男性不妊症との関連

医療一般

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、男性の生殖能力に潜在的な影響を及ぼすといわれているが、その正確なメカニズムは十分にわかっているとはいえない。サウジアラビア・King Saud UniversityのJawza F. Alsabhan氏らは、SSRIと男性不妊症との関連を調査した。Journal of Clinical Medicine誌2024年4月7日号の報告。  SSRIによる治療を受け、King Saud Medical Cityの不妊クリニックに通院したサウジアラビア人男性を対象に、カルテレビューをレトロスペクティブに実施した。SSRIを服用している患者の精子パラメータの質をスクリーニングするため、不妊クリニックに通院している男性患者の医療記録を参照した。

ゴルフや水泳がALSリスクを上昇させる?

医療一般

 ゴルフ、ガーデニングや庭仕事、木工、狩猟などの余暇活動は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症リスク上昇と関連している可能性があるという研究結果が、「Journal of the Neurological Sciences」2月15日号に掲載された。  米ミシガン大学アナーバー校のStephen A. Goutman氏らは、ALS患者400人と健康対照者287人を対象に、趣味、運動、余暇活動に関連するリスクを調査した。  解析の結果、ALS診断の5年前にゴルフ(オッズ比3.48)、レクリエーションダンス(同2.00)、ガーデニングや庭仕事(同1.71)をしていたことが、ALSに関連するリスクであることが分かった。リスクと関連したその他の曝露には、個人または家族での木工活動参加(同1.76、2.21)、個人での狩猟や射撃への参加(同1.89)があった。ALSの生存および発症に関連する曝露はなかった。発症年齢の早さは、診断の5年前の水泳(3.86歳)および重量挙げ(3.83歳)と関連していた。

乳がんサバイバー、二次がんの発症リスク増か

医療一般

 乳がんサバイバーは、その後、再発ではなく新たに別のがん(二次がん)を発症するリスクが高い可能性のあることが、英ケンブリッジ大学公衆衛生学・プライマリケア学部のAntonis Antoniou氏らによる研究で示された。Antoniou氏らは、乳がんサバイバーが実際に二次がんを発症する絶対リスクは低いことを強調しつつも、乳がんの罹患歴がない人と比べた場合の相対リスクは高いことが明らかになったと述べている。詳細は、「The Lancet Regional Health - Europe」に4月24日掲載された。Antoniou氏は、「この研究は、乳がんサバイバーの二次がん発症リスクについて調べた、これまでで最大規模のものだ」と説明している。

2024/05/16

2型DM、メトホルミンに追加するなら?/BMJ

ジャーナル四天王

 日常診療における2型糖尿病患者の2次治療として、メトホルミンに追加する3種の一般的な経口血糖降下薬(SU薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬)の有効性を比較する検討が、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のPatrick Bidulka氏らにより行われた。SGLT2阻害薬は、SU薬およびDPP-4阻害薬と比較してHbA1c、BMI、収縮期血圧を低下させ、心不全による入院(対DPP-4阻害薬)および腎臓病の進行による入院(対SU薬)のリスクを抑制した。なお、その他の臨床エンドポイントでは差があるとのエビデンスは示されなかった。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

ASPECTS 0~5の広範囲脳梗塞にも血管内治療は有効か?/NEJM

ジャーナル四天王

 ベースラインでの梗塞サイズの上限を設けずに試験登録した急性期広範囲脳梗塞患者において、血栓除去術+内科的治療は内科的治療単独と比べて、良好な機能的アウトカムをもたらし、死亡率も低下したことが示された。ただし症候性脳出血の発生率は高かった。フランス・Hopital Gui de ChauliacのVincent Costalat氏らLASTE Trial Investigatorsが、多施設共同前向き非盲検無作為化試験「LASTE試験」の結果を報告した。梗塞サイズの上限を設けない急性期広範囲脳梗塞患者における血栓除去術の使用については、これまで十分に検証されていなかった。NEJM誌2024年5月9日号掲載の報告。

日本人統合失調症患者における口腔機能低下

医療一般

 統合失調症患者の口腔機能の状態は、あまりわかっていない。新潟大学の渡部 雄一郎氏らは、日本人統合失調症入院患者の口腔機能に関して、横断研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年4月11日号の報告。  日本人統合失調症入院患者130例を対象に、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能などの口腔機能を測定した。次に、非高齢患者63例と高齢患者67例の口腔機能低下の臨床症状の頻度を比較した。同様に、これまでの日本における研究より高齢対照者98例のデータを用いて、比較を行った。

多くの死亡患者が電子カルテに生存者として記載

医療一般

 死亡患者の5人に1人近くが電子カルテに生存者と記載されており、80%が死亡後にプライマリケアのアウトリーチを受けていることを示した研究レターが、「JAMA Internal Medicine」に12月4日掲載された。  米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のNeil S. Wenger氏らは、医療機関が死亡を認識していない患者の割合を調査した。1つの学術医療システムの41の診療所を対象に、継続的に受診していた18歳以上の重症プライマリケア患者(過去1年に2回以上受診していた患者)1万1,698人の電子カルテデータを解析した。

2016年から2020年にかけてスクーターによる外傷の発生率が上昇

医療一般

 スクーターによる外傷の発生率は2016年から2020年にかけて上昇し、スクーターによる外傷で小手術を受ける患者が増加したとの研究結果が、「Journal of the American College of Surgeons」に1月9日掲載された。  米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のNam Yong Cho氏らは、全米入院患者サンプル(NIS)から2016~2020年のデータを用いて、スクーターまたは自転車による外傷で入院した65歳未満の患者を対象に後ろ向きコホート研究を行い、スクーターによる入院の時間的傾向および転帰を自転車と比較した。

難治てんかんの治療、新たな標的を発見か

医療一般

 難治てんかん患者に対し、海馬のfasciola cinereumと呼ばれる部位をほぼ全て摘出することで、てんかん発作が83%減少したとする研究結果を、米スタンフォード大学医学部脳神経外科・神経科学教授のIvan Soltesz氏らが、「Nature Medicine」に4月17日発表した。  この結果は、1カ月に1〜2回てんかん発作を起こしていた患者の発作回数が3カ月に1回程度に減ったことを意味する。研究グループは、「われわれの結果は、難治てんかん患者に対しては、一般的な脳の標的部位とともにfasciola cinereumも治療ターゲットにする必要性があることを示唆するものだ」との見方を示している。Soltesz氏は、「海馬は、脳の中では非常によく研究されている部位ではあるが、fasciola cinereumについて知られていることは驚くほど少ない」と話す。

クラミジアワクチン、初期臨床試験で好成績

医療一般

 クラミジアワクチンに関する初期の臨床試験において、ワクチン接種者に免疫反応が誘導され、安全性も確認されたことが報告された。研究者の間では、将来、このワクチンが性感染症(STI)の蔓延を抑えるのに役立つことへの期待が高まっている。Statens Serum Institut(国立血清学研究所、デンマーク)のJes Dietrich氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Infectious Diseases」に4月11日掲載された。  米疾病対策センター(CDC)によると、クラミジアは米国で最も一般的な細菌性STIであるが、現時点では、クラミジアに対して有効なワクチンは存在しない。全米性感染症科長連合会(National Coalition of STD Directors;NCSD)の事務局長であるDavid Harvey氏は、NBCニュースに対し、「米国でのSTIの感染率は、1950年代以来、おそらくはそれ以前から、非常に高い」と指摘し、「クラミジアワクチンは切実に必要とされている」と話す。

2024/05/15

マジックマッシュルーム成分の抗うつ効果は?~メタ解析/BMJ

ジャーナル四天王

 数種類のキノコに含まれるセロトニン作動性の幻覚成分であるpsilocybinの抗うつ治療効果を検証するため、英国・オックスフォード大学のAthina-Marina Metaxa氏らは、これまで発表された研究論文についてシステマティック・レビューとメタ解析を行った。うつ症状の測定に自己報告尺度を用いており、以前に幻覚剤を使用したことがある二次性うつ病患者において、psilocybinの治療効果は有意に大きかったという。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、抗うつ薬としてのpsilocybinの治療可能性を最大化する因子を明らかにする必要がある」と述べている。

変形性肩関節症の人工肩関節置換、リバース型vs.解剖学的/BMJ

ジャーナル四天王

 変形性肩関節症を有する60歳以上の患者において、リバース型人工肩関節全置換術(RTSR)は解剖学的人工肩関節全置換術(TSR)の許容可能な代替術であることが、英国・オックスフォード大学のEpaminondas Markos Valsamis氏らによる住民ベースのコホート研究で示された。経時的な再置換術のリスクプロファイルに有意差は認められたが(最初の3年間はRTSRが良好)、一方で長期的な再置換術、重篤な有害事象、再手術、入院期間の長期化、生涯医療コストについて、統計学的な有意差および臨床的に重要な差は認められなかった。RTSRの施術は、直近20年間で世界的に急増しているが、高い質的エビデンスのないまま、本来の病理学的対象患者にとどまらず、手術適応の症例に幅広く施術されている現状がある。そうした治療の不確実性は英国の研究機関において重要な優先事項と認識されており、完了までに数年がかかる国際的な試験に対して資金提供がされているという。BMJ誌2024年4月30日号掲載の報告。

食物アレルギーに対するオマリズマブ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

食物アレルギーは食べ物に含まれるタンパク質がアレルゲンとなり、抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象と定義されている。食物アレルギーに関わるアレルゲンは、食べ物以外のこともあり、その侵入経路もさまざまであることが知られている。免疫学的機序によりIgE依存性と、非IgE依存性に分けられるが、IgE依存性食物アレルギーの多くは即時型反応を呈することが多い。IgE依存性食物アレルギーはいくつかの病型に分けられており、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎、即時型症状、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)、口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)に分類される(『食物アレルギー診療ガイドライン2021』)。食物アレルギーによって皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器など、さまざまな臓器に症状が現れる。それらの症状は臓器ごとに重症度分類を用いて評価し、重症度に基づいた治療が推奨されている。IgE依存性食物アレルギーのうち、FDEIAは複数臓器・全身性にアレルギー症状が出現し、いわゆるアナフィラキシーショックを引き起こす可能性が比較的高いことが知られている。食物アレルギーの原因食物は鶏卵・牛乳・小麦とされていたが、最新の調査「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」の報告書では第3位にナッツ類が含まれる結果であった。一般的にナッツ類は種子が硬い殻で覆われたアーモンド・クルミ・カシューナッツ・マカダミアナッツなどが含まれ、マメ科のピーナッツは含まれない。この報告書では食物アレルギーの85%に皮膚症状、36%に呼吸器症状、31%に消化器症状を認めたとし、ショック症状は11%であった。

AGA治療薬ミノキシジル、経口vs.外用

医療一般

 男性型脱毛症(AGA)治療薬ミノキシジルについて、経口ミノキシジル5mg(1日1回)は外用ミノキシジル5%(1日2回)と比較し、24週間の治療において優越性を示さなかったことが、無作為化比較試験で示された。低用量経口ミノキシジルへの関心が高まっているが、これまでその有効性は比較試験で検証されていなかった。本研究結果は、ブラジル・サンパウロ大学のMariana Alvares Penha氏らによってJAMA Dermatology誌オンライン版2024年4月10日号で報告された。  研究グループは、ブラジルの専門クリニック単施設において、経口ミノキシジル5mg(1日1回)の有効性および安全性を外用ミノキシジル5%(1日2回)との比較で検証する二重盲検無作為化比較試験を行った。

ガイドラインで推奨される睡眠薬、日本の臨床で有用なのは?

医療一般

 不眠症のガイドラインでは、いくつかの睡眠薬が推奨されているが、臨床現場において最も有用な睡眠薬は明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法の失敗リスクが低い薬剤、単剤療法後の中止率の高い薬剤を特定するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2024年4月1日号の報告。  2005年4月~2021年3月の日本医療データセンターレセプトデータベースのデータを用いて、レトロスペクティブ観察コホート研究を実施した。対象患者は、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬(スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム)による単剤療法を行った成人患者。データ分析は、2022年12月24日~2023年9月26日に実施した。主要アウトカムは、単剤療法の失敗とし、ガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を開始してから6ヵ月以内に睡眠薬の変更または追加を行った場合と定義した。副次的アウトカムは、単剤療法の中止とし、単剤療法が失敗しなかった後、6ヵ月以内に2ヵ月連続で睡眠薬を処方しなかった場合と定義した。単剤療法の失敗および中止は、それぞれCox比例ハザードモデル、ロジスティック回帰モデルを用いて比較した。

IBSの治療、食事法の効果が薬を上回る?

医療一般

 腹痛などの過敏性腸症候群(IBS)の症状を軽減する最善の治療法は適切な食事法であることを示唆する結果が、ヨーテボリ大学サールグレンスカアカデミー(スウェーデン)のSanna Nybacka氏らが実施した臨床試験で示された。同試験では、IBSの症状に対する治療法として2種類の食事法の方が標準的な薬物治療よりも優れていることが示された。詳細は、「The Lancet Gastroenterology and Hepatology」に4月18日掲載された。  IBSは、消化器疾患の中で最も高頻度に生じる上に、治りにくい疾患の一つだ。米国人のIBSの有病率は約6%で、患者数は男性よりも女性の方が多い。IBSの症状は、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘などの無視しがたいもので、死に至る場合もある。IBSに対しては、食事の改善のほか、便秘薬や下痢止め薬、特定の抗うつ薬、腸管内の水分の分泌を促し腸の動きを活発にする作用があるリナクロチドやルビプロストンなどの薬物による治療が行われる。

週間アーカイブ