呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

BiTE抗体tarlatamab、進行・再発の進展型小細胞肺がんに申請/アムジェン

 アムジェンはデルタ様リガンド3(DLL3)を標的とするBiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体tarlatamabについて、進行・再発の進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。  小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの約15%を占め、世界で毎年33万例超が新規に診断されている。SCLCは最も悪性度が高い固形がんの1つで、増殖速度が非常に早く早期に転移する。5年相対生存率(全Stage)は10%未満と予後不良である。ED-SCLCに対する現行の1次治療の奏効率は60〜70%と比較的良好だが、ほとんどの症例で治療耐性が生じ、治療後1年以内に再発を認める。

抗菌薬は咳の持続期間や重症度の軽減に効果なし

 咳の治療薬として医師により抗菌薬が処方されることがある。しかし、たとえ細菌感染が原因で生じた咳であっても、抗菌薬により咳の重症度や持続期間は軽減しない可能性が新たな研究で明らかにされた。米ジョージタウン大学医学部家庭医学分野教授のDaniel Merenstein氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of General Internal Medicine」に4月15日掲載された。  Merenstein氏は、「咳の原因である下気道感染症は悪化して危険な状態になることがあり、罹患者の3%から5%は肺炎に苦しめられる」と説明する。同氏は、「しかし、全ての患者が初診時にレントゲン検査を受けられるわけではない。それが、臨床医がいまだに患者に細菌感染の証拠がないにもかかわらず抗菌薬を処方し続けている理由なのかもしれない」とジョージタウン大学のニュースリリースの中で述べている。

超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

小児でCOVID-19が重症化しにくい理由とは?

 小児が高齢者と比べて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が軽症で済みやすい理由は鼻の中の細胞にあることが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)グレート・オーモンド・ストリート小児健康研究所のClaire Smith氏らの研究で示唆された。12歳未満の小児では、鼻腔内の上皮細胞(鼻粘膜上皮細胞)が新型コロナウイルスに対して迅速に免疫反応を示すのに対し、高齢者ではそのような迅速な免疫反応は起こりにくいことが実験で確認されたという。この研究結果は、「Nature Microbiology」に4月15日掲載された。

肺炎への広域抗菌薬使用、オーダーエントリーシステムで減少/JAMA

 肺炎でICU以外に入院した成人患者において、患者特異的な多剤耐性菌(MDRO)の感染リスク推定に基づき、リスクが低い患者に対し標準スペクトラム抗菌薬を推奨するオーダーエントリーシステム(computerized provider order entry:CPOEバンドル)の使用は、通常の抗菌薬適正使用支援の実践と比較し、広域スペクトラム抗菌薬の経験的使用が有意に減少した。ICU転室までの日数および在院期間に差はなかった。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のShruti K. Gohil氏らが、米国の地域病院59施設で実施したクラスター無作為化比較試験「INSPIRE(Intelligent Stewardship Prompts to Improve Real-time Empiric Antibiotic Selection)肺炎試験」の結果を報告した。

術後の静脈血栓塞栓リスク、最も高いがんは?

 がん手術後の静脈血栓塞栓のリスク増加を、がん種別に評価した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のJohan Bjorklund氏らによる本研究結果は、JAMA Network Open誌2024年2月2日号に掲載された。  本試験は1998~2016年のスウェーデンの全人口データを用いた後ろ向きコホート研究であった。膀胱がん、乳がん、大腸がん、婦人科がん、腎臓・上部尿路上皮がん、肺がん、前立腺がん、胃・食道がんの8種のがんで手術を受けた全患者を、非がんの一般集団と1対10の割合でマッチさせた。データは2023年2月13日~12月5日に解析された。

長引く咳や痰、新型コロナ以外で増加傾向の疾患とは

 5月9日は「呼吸の日」。これに先駆け、インスメッドは罹患者数/死亡者数が増加傾向にある肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に関するオンラインアンケート調査を実施した。その結果、肺NTM症について、「知っている」と回答したのは9.3%、「聞いたことがあるが、詳しくは知らない」は22.3%と、認知率の低さが浮き彫りになった。また、肺NTM症の症状として特徴的な咳や痰の症状を有していたにもかかわらず、全回答者の半数以上(608例)は医療機関を未受診と回答。その理由を尋ねたところ、79.9%が「病院に行くほどではないと思っている」と回答していたことも明らかになった。

NSCLC術前補助療法、ニボルマブ+relatlimabの生存ベネフィットは?(NEOpredict-Lung)/Nat Med

 複数の免疫チェックポイント分子を阻害する治療法は、免疫抵抗性の克服の観点から注目されている。抗PD-1抗体ニボルマブと抗LAG-3抗体relatlimabの併用療法は、悪性黒色腫においてニボルマブ単剤療法と比較して、無増悪生存期間の改善が認められたことが報告されている。また、この結果をもとに米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法においてもニボルマブ+relatlimab併用療法の有用性が検討されており、全例で手術の施行が可能であったほか、1年無病生存(DFS)率が93%、1年全生存(OS)率が100%と有用性を示唆する結果が報告された。本研究結果は、ドイツ・エッセン大学病院のMartin Schuler氏らにより、Nature Medicine誌オンライン版2024年4月30日号で報告された。

入院患者の死亡率、患者と医師の性別で異なる

 医師の性別と患者の性別の組み合わせによって臨床転帰は異なるのだろうか。東京大学の宮脇 敦士氏らが、米国で内科的疾患で入院した患者を男女に分け、医師の性別と臨床転帰の関連を調べたところ、女性医師による治療のほうが死亡率および再入院率が低く、女性医師による治療のベネフィットは男性患者よりも女性患者で大きいことが示唆された。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年4月23日号に掲載。  本研究は、米国で2016~19年に入院し、病院総合診療医の治療を受けたメディケア有料サービス受給者から無作為に抽出したサンプルを用いた後ろ向き観察研究で、主要評価項目は30日死亡率および再入院率とした。

慢性疾患治療薬のサロゲートマーカーでの効果判定、エビデンスの強さは?/JAMA

 非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、米国食品医薬品局(FDA)の承認を裏付ける臨床試験の主要エンドポイントとして使用された代替マーカー(サロゲートマーカー)の半数以上が、この代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連を検討したメタ解析が公表されておらず、少なくとも1つのメタ解析を確認したサロゲートマーカーも、その多くが臨床アウトカムとの関連について高い強度のエビデンスを欠いていることが、米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。