データバンクでアルツハイマー病の治療実態が明らかに―仏BNA調査― 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/07/03 急速に超高齢社会に突入したわが国において、認知症診療のスキルは専門医だけでなく、かかりつけ医にも求められるようになってきた。2011年に新規抗認知症薬が次々と承認され、今後の薬物療法に関して議論が行われている。Tifratene氏らはデータバンクを活用し、フランス国内のアルツハイマー病(AD)の薬物療法の現状とその治療がフランスのADガイドラインに準じているかを検討した。その結果、ADのデータバンクがADの診療や関連疾患診療に有益な情報をもたらすことを、Pharmacoepidemiol Drug Saf誌オンライン版2012年6月20日付にて報告した。2010年にフランスのアルツハイマーデータバンク(BNA)に登録された191,919例を横断的に分析し、ADと診断された患者(29.9%)と対象期間で少なくとも1つ以上の認知機能検査(MMSE)スコアを示した患者26,809例を検討した。主な結果は以下のとおり。 ・76.9%の症例において、抗AD治療薬が投与されていた。・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤単独投与が48.3%、メマンチン単独投与が14.2%、併用投与が14.4%であった。・20.7%の症例はガイドラインに準じた治療が行われておらず、低いMMSE平均スコア(13.6 vs 18.0、p<0.00001)、抗うつ薬の投与(29.2 vs 22.8、p<0.00001)、抗不安薬の投与(14.7 vs 12.3、p<0.00001)、抗精神病薬の投与(8.7 vs 4.9、p<0.00001)と関連していた。・4/5の症例はガイドラインに準ずる治療が行われていたが、高度AD患者においてガイドラインに準じないアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンの投与が行われていた。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・わが国の認知症有病率は従来の報告よりかなり高い:第53回日本神経学会学術大会より ・認知症患者の治療効果、物忘れクリニックvs.一般診療所 ・中等度~高度のアルツハイマー型認知症に対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討 原著論文はこちら Tifratene K, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2012 Jun 20. doi: 10.1002/pds.3303. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)
Tifratene K, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2012 Jun 20. doi: 10.1002/pds.3303. [Epub ahead of print]