検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/07/25 統合失調症の病態メカニズムとして、近年注目されているグルタミン酸仮説。グルタミン酸仮説では、統合失調症における神経伝達機能の障害にはN-メチル‐D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介するグルタミン酸作動性シグナル伝達の異常が関与しており、このシグナル伝達の阻害が行動や認知機能に影響を及ぼすとしている。 統合失調症におけるグルタミン酸作動性機能の異常は、GluN2Bを含むNMDA受容体の発現が減少することが一因であると考えられている。Carty氏らは、統合失調症におけるGluN2Bのチロシン脱リン酸化酵素であるSTEP61の発現を動物実験により検証した。Transl Psychiatry誌オンライン版2012年7月10日号の報告。 精神異常発現薬MK-801とフェンサイクリジン(PCP)を投与したマウスを用い、死後脳の前帯状皮質と前頭前皮質背外側部のSTEP61レベルを測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・死後脳の前帯状皮質と前頭前皮質背外側部のSTEP61レベルは有意に高かった。 ・STEP61の蓄積は、ユビキチンプロテアソームシステム(通常、STEP61を低下させる)の異常によるものである。 ・PCPの急性および慢性的な投与を受けたSTEPノックアウトマウスでは、行動や認知機能への影響が低かったことから、統合失調症ではSTEP61レベル増加が関与していることが示唆された。 ・定型および非定型抗精神病薬の慢性的な投与を受けたマウスでは、プロテインキナーゼAリン酸化とSTEP61の不活化がみられ、その結果GluN1/GluN2B受容体の発現が増加した。 ・統合失調症の病態にはSTEP61の蓄積が関与している可能性が示唆された。 関連医療ニュース ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Carty NC, et al. Transl Psychiatry. 2012 Jul 10; 2: e137. doi: 10. 1038/tp.2012.63. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet(2024/11/01) 異常降雨が全死亡リスクと関連、心血管・呼吸器疾患死亡も/BMJ(2024/11/01) 糖尿病、脳卒中合併高血圧でも積極的降圧が有効―とはいうが、COVID-19ロックダウン下の中国で大規模臨床試験を強行したことに驚き(解説:桑島巌氏)(2024/11/01) 薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析(2024/11/01) 骨髄線維症に10年ぶりの新薬、貧血改善が特徴/GSK(2024/11/01) お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下(2024/11/01) 重症の新型コロナ感染者の心臓リスクは心疾患既往者のリスクと同程度(2024/11/01) 救急外来でのChatGPTの活用は時期尚早(2024/11/01) 幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る(2024/11/01)