デポ剤使用で寛解率が向上!? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/23 統合失調症治療における最終ゴールである寛解。寛解を目指すため、さまざまな取り組みが行われている。近年、統合失調症治療薬は経口剤だけでなく、持効性注射製剤(LAI)も承認され、多くの患者に使用されるようになってきた。このLAIが寛解にどのような影響を与えるかについて、BMC Psychiatry誌オンライン版2012年8月10日号で報告された。 今日では、統合失調症患者の治療目標は臨床的寛解だけでなく、心理社会的寛解が重要であるとされており、従来の症状データに定量化可能な心理社会的変数を組み入れることが求められている。Barak氏らは抗精神病薬の投与や投与方法が寛解にどのような影響を与えるかを、大規模コホート研究により臨床的および心理社会的に評価し、統合失調症患者の寛解に持効性注射剤が好影響をもたらす可能性があることを報告した。 対象は、6ヵ月以上の治療期間を有する統合失調症患者とし、性別、年齢、薬物治療状況のテータを収集した。心理社会的寛解の評価にはPSRS(PsychoSocial Remission Scale)、臨床的寛解の評価にはRSWG(Remission in Schizophrenia Working Group symptomatic remission criteria)を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・調査対象患者数は445例(平均年齢:43.4±13.1歳、男女比:61%:39%)。評価者別内訳は、精神科医268例(60%)、看護師161例(36%)、ソーシャルワーカー16例(4%)であった。 ・抗精神病薬別の内訳は、経口抗精神病薬(PO群)243例(55%)、定型抗精神病薬の持効性注射剤(LAT群)102例(23%)、リスペリドン持効性注射剤(RLAI群)100例(22%)であった。 ・全体としての臨床的寛解率は37%、心理社会的寛解率は31%であった。 ・臨床的寛解率は、PO群と比較しLAT群およびRLAI群で有意に高かった(それぞれ51% , 48% vs 29%、p=0.0003)。 ・心理社会的寛解率も、PO群と比較しLAT群およびRLAI群で有意に高かった(それぞれ43% , 41% vs 24%、p=0.003)。 本研究では、統合失調症患者の1/3が寛解に至っていた。また、経口剤と比較し、持効性注射剤を使用した患者の方が、臨床的および心理社会的寛解率が高かった。 関連医療ニュース ・「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は… ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・リスペリドン vs パリペリドン【安全性プロファイル】 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Barak Y, et al. BMC Psychiatry. 2012 Aug 10;12(1):108. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21)