不眠症と職場での事故(accident)や失敗(error)発生との関連について、Shahly V氏らが米国不眠症サーベイ(AIS)を基に検証した。その結果、他の慢性疾患と比べて不眠症は1.4倍有意に事故や失敗と関連することなどが明らかになった。Arch Gen Psychiatry誌2012年10月1日号の報告。
AISに登録されている労働者を対象に、広範に定義した不眠症[国際疾病分類第10版(ICD-10)、DSM-IV、研究用診断基準(RDC)/睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)の診断基準を満たすなど]と、職場に重大な損害を与えた事故や失敗との関連を、慢性疾患を除外して評価した。3,400万人以上の民間保険プラン加入者データ(診療/医薬品請求データ)が蓄積されたHealthCore Integrated Research Databaseから対象を選び、全米断面的電話サーベイを行った(協力率65%)。
主要評価項目は、電話インタビュー前の直近12ヵ月間における職場に重大な損害を与えた事故あるいは失敗についてであり、事故は「500ドル以上の損害および作業停滞を引き起こしたか」、その他の失敗は「会社に500ドル以上のコストを生じさせたか」との質問に対する回答で評価した。
12ヵ月間の不眠症は、Brief Insomnia Questionnaireで評価した。この評価は、盲検臨床再評価インタビューと比べてROC下領域0.86と検証に優れており、十分な構造的診断インタビュー法であった。慢性疾患についての評価は18項目で可能であり、自己評価スケールでデータを検証した。
主な結果は以下のとおり。
・不眠症は、その他の慢性疾患と比べて、職場での事故や失敗(両方またはどちらか)との関連が有意であった(オッズ比:1.4)。
・オッズ比について、年齢、性別、教育水準、共存症による有意な変化はみられなかった。
・不眠症に関連した事故や失敗による平均コスト(3万2,062ドル)は、その他の事故や失敗による同値(2万1,914ドル)よりも有意に高かった。
・シミュレーション推計の結果、不眠症は重大な損害を与えた事故や失敗の7.2%を占め、発生した全コストの23.7%を占めた。
・米国において年間平均27万4,000件の不眠症関連の事故や失敗が起きており、それによるコストは金額にすると311億ドル相当と予測された。これらは、他のあらゆる慢性疾患よりも高値であった。
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(ケアネット)