初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/08 統合失調症患者では皮質内抑制ネットワークの障害がしばしば認められる。これは、γ‐アミノ酪酸(GABA)作動性の伝達機能障害と関連すると考えられる。これまで初回エピソード発現リスクの高い未治療患者を対象とした研究は行われていなかったが、ドイツのHasan氏らによる断面研究の結果、リスクが高まった時には皮質抑制性の障害がすでに出現していることから、疾患進行と共に起きているようにみえるGABAの機能障害が、疾患早期から起きている可能性が示唆された。Biol Psychiatry誌2012年11月1日号の報告。 統合失調症リスクが高い18例、初回エピソードを呈した18例、健常対照者18例を本研究に組み込んだ。左主要運動野への経頭蓋磁気刺激にて、短潜時皮質内抑制、皮質内亢進、対側性の静止期間(CSP)を判定した。短潜時皮質内抑制はGABA A型[GABA(A)、抑制を伝達]を指標とみなすことができるとし、CSPはGABA B型[GABA(B)、皮質内抑制ネットワークを伝達]を調べることとした。 主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症の発症リスクが高い状態および初回エピソード時には、皮質内抑制ネットワークに特異的変化があらわれていることが明らかになった。 ・リスクが高い状態および初回エピソードを呈した被験者は、健常対照者と比べて、GABA(A)が低下を示し、短潜時皮質内抑制の低下が示された。 ・初回エピソード患者は、その他2つのグループと比較して、CSP期間が長期であった。これは、GABA(B)アンバランスが統合失調症顕在発症の患者でのみ認められることを意味する。 ・解析では、皮質内亢進について群間差はみられなかった。 関連医療ニュース ・なぜ?第二世代抗精神病薬投与による“強迫症状”発現機序 ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」 ・統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子 (ケアネット) 原著論文はこちら Hasan A et al. Biol Psychiatry. 2012 Nov 1;72(9):744-51. Epub 2012 Apr 12. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラソン中の心停止、発生は横ばいだが突然死は大幅に減少/JAMA(2025/04/21) 後方循環系の軽症脳梗塞、発症後4.5~24時間のrt-PA療法が有効/NEJM(2025/04/21) 敗血症性ショックにおけるバソプレシンの最適な開始時期(OVISS強化学習研究)(解説:寺田教彦氏)(2025/04/21) FDAで承認された初の経口産後うつ病治療薬zuranolone(2025/04/21) 多発性骨髄腫と共に“生きる”選択を―Well-beingから考える(2025/04/21) 転倒リスクの高い2型糖尿病治療薬は?/筑波大(2025/04/21) 高脂血症は術後せん妄のリスク因子か~メタ解析(2025/04/21) AIが早産児の完全静脈栄養を改善(2025/04/21) チャットボットもトラウマ的な話に不安を感じる(2025/04/21)