てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/19 PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。 KASE(カイニン酸誘発てんかん重積状態)ラットモデルにおける、早期てんかん発作時の脳炎について、剖検による病理組織学的所見とin vivoでのPETで測定した[18F]-PBR111により調べた。研究は、てんかん重積状態(SE)モデルラット13例と対照群ラット9例を比較して行われた。SE後7日間の輸送体蛋白質(TSPO)の発現とミクログリアの活性化を、[125I]-CLINDEオートラジオグラフィとOX-42免疫組織化学的方法で評価した。またサブグループでは、剖検前に代謝物補正入力関数による[18F]-PBR111 PET測定を行った。 関心領域(VOIs)の[18F]-PBR111分布容量(Vt)を、反応速度モデリングとVOI/代謝物補正血漿濃度で定量化した。 主な結果は以下のとおり。 ・SEモデルラットの多くがin vivoにおいて、海馬や扁桃体といった関連する脳病変部位でTSPOの非常に過剰な発現を示した(p<0.001)。 ・症状が軽度のラットでは、扁桃体でのみTSPOのわずかな増大がみられた(p<0.001)。 ・TSPOの発現はOX-42シグナルと関連していたが、明らかな細胞の消失はみられなかった。 ・同様に、in vivoにおいて、海馬(p<0.005)や扁桃体(p<0.001)といったキー病変で、[18F]-PBR111の容量増大と濃度の上昇がみられた。 ・剖検およびin vivoいずれにおいても、てんかん発作において重要な脳の部位で、てんかん発作中に有意な脳炎が認められることがKASEモデルにおいて実証された。 関連医療ニュース ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測 (ケアネット) 原著論文はこちら Dedeurwaerdere S et al. EJNMMI Res. 2012 Nov 8;2(1):60. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] COPDの3剤配合薬、定量噴霧吸入器vs.ドライパウダー吸入器/BMJ(2025/01/22) 日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは(2025/01/22) 乳がん診断後の手術遅延、サブタイプ別の死亡リスクへの影響(2025/01/22) 自己主導型のCBTはアトピー性皮膚炎の症状軽減に有効(2025/01/22) コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?(2025/01/22) 高齢患者の抗菌薬使用は認知機能に影響するか(2025/01/22) 出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連(2025/01/22)