疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/21 線維筋痛症(FMS)の症状軽減に対しプラセボ以上の治療効果が期待できる薬物療法は少なく、有害事象による脱落率が増加するといわれてきた。最近のシステマティックレビューによると、慢性疼痛の試験において、治療薬の有用性や副作用のかなりの割合は、プラセボに起因することが実証された。Winfried Häuser氏らはプラセボおよびノセボ反応(プラセボにより副作用が発現すること)の大きさを測定し、FMS適応承認のための医薬品の臨床試験においてそれらが薬の有用性に及ぼす影響を評価した。Clinical and experimental rheumatology誌オンライン版2012年11月8日号の報告。 FMS患者を対象とした、デュロキセチン、ミルナシプラン、プレガバリン、ナトリウムオキシベートを用いた無作為化二重盲検プラセボ対照試験のうち、2012年6月30日までに報告された試験を、CENTRAL、MEDLINE、clinicaltrials.govより検索した。プラセボへの反応は、プラセボにより痛みが50%軽減する推定値を評価した。ノセボ反応は、プラセボ群における有害事象による推定脱落値を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・プラセボ群3,546例を含む18試験が抽出された。 ・プラセボにより痛みが50%軽減する推定値は18.6%であった(95%CI:17.4~19.9)。 ・プラセボ群における有害事象による推定脱落値は10.9%であった(95%CI:9.9~11.9)。 ・臨床ではプラセボ効果を期待する場合もあるが、治験医師はプラセボ効果を低下させることを目指している。また、臨床試験においてはノセボ反応を減らすことが重要である。 関連医療ニュース ・とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・「片頭痛の慢性化」と「うつ」の関係 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Häuser W, et al. Clin Exp Rheumatol. 2012 Nov 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)