日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/28 日本人女性の統合失調症発症に、ITGA8遺伝子ミスセンス突然変異が関与している可能性があることが明らかにされた。神戸大学大学院のIrwan Supriyanto氏らが、京都の遺伝子データベース「KEGG」で報告された情報と統合失調症患者との関連を調べ報告した。Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。ITGA8遺伝子は中枢神経系の発達に重要な役割を果たし統合失調症の病態生理での関与が認められる細胞接着分子(CAMs)であり、CAMs遺伝子のミスセンス突然変異は統合失調症を発症しやすくする可能性が示唆されていた。 研究グループは、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)の報告から中枢神経系のCAMs遺伝子の15の突然変異を選択し、これら遺伝子と統合失調症患者(278例)および対照被験者(284例)との関連を調べた(第1検討群)。また、患者567例と対照被験者710例の陽性SNP遺伝子型についても調べ(第2検討群)、患者635例と対照被験者639例による再検証試験も行った(複製標本群)。 主な内容は以下のとおり。 ・統合失調症患者と対照群では、ITGA8遺伝子におけるrs2298033の遺伝子型分布および対立遺伝子分布が有意に異なることが示された(それぞれp=0.005、p=0.007)。 ・性差に基づいた解析の結果、ITGA8遺伝子におけるrs2298033の対立遺伝子および遺伝子型の分布は、第1および第2検討群の女性において患者群と対照群とでは有意差がみられた(それぞれp=0.010、p=0.011とp=0.0086、p=0.010)。しかし男性の被験者群では有意差はみられなかった。 ・複製標本群のrs2298033の複合解析では、より有意な差がみられた(全被験者群ではp=0.0032、p=0.0035、女性被験者群ではp=0.0024、p=0.0025)。 ・NFASC遺伝子のrs2802808は、第1検討群の女性被験者群でのみ有意差がみられた。 ・上記の結果は、ITGA8遺伝子は、女性においてのみ統合失調症発症に関与する可能性があることを示す。さらなる再検証試験や機能的研究により、今回得られた知見を確認することが求められる。 関連医療ニュース ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 ・精神科学会レポート (ケアネット) 原著論文はこちら Supriyanto I, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2012 Nov 12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)