グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/06 グルタミン酸作動性システムについては、とくにグルタミン酸とNMDA受容体の異常が大うつ病の病態生理に関与していることを示すエビデンスが数多く報告され、グルタミン酸作動性神経伝達の不均衡がNMDAアゴニズムの活性に寄与し、大うつ病に関連する脳内の興奮活性を亢進する可能性が示唆されていた。しかし、NMDA受容体阻害薬が抗うつ病薬のような活性を備えていることが示されたにもかかわらず、依然として異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達の基底にある分子的な変化は十分に解明されていなかった。そのような中、グルタミン酸作動性システムが、大うつ病に対する効果的な治療介入ターゲットであることが、イタリア・ローマ大学サピエンツァ校のGianluca Serafini氏らによる最新のレビュー研究によって明らかにされた。Current Pharmaceutical Design誌オンライン版2012年11月19日号の掲載報告。 研究グループは、大うつ病でNMDA受容体をターゲットとしているグルタミン酸作動薬の主要な薬理学的特性と影響に焦点を合わせ、最新文献のレビューを行った。文献の検索は、PubMed/Medline、ScienceDirect databasesにて、グルタミン酸、うつ病、大うつ病性障害をキーワードに行った。 主な内容は以下のとおり。 ・大半のグルタミン酸受容体作動薬は、臨床および前臨床研究いずれにおいても、抗うつ作用の活性を示す生化学的な影響を示した。また、最新の神経画像診断や遺伝学により、これら薬物の抗うつ作用性が確認されていた。 ・NMDA受容体阻害薬などヒトを対象とした試験が、結果に混乱を生じさせていた。 ・全体的には、グルタミン酸作動性受容体の調節機能は、ヒトのうつ病に対する治療反応と関連している神経伝達物質の放出と同じように、ニューロン幹細胞の増殖(ニューロン形成)を容易にする可能性がある。ただし、認知機能に対する副作用と精神障害の発現性があり、臨床への適用および有用な薬剤開発を難しくしている。 ・NMDA受容体をターゲットするグルタミン酸作動薬(神経伝達物質の放出を阻害したり、シナプス後部反応を調節する)は、特異的な抗うつ作用を持つ分子モジュレーターとして役立つ可能性がある。 関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測 (ケアネット) 原著論文はこちら Serafini G et al. Curr Pharm Des. 2012 Nov 19. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 大動脈弁逆流症、専用弁によるTAVIが有望/Lancet(2025/12/16) mRNAインフルワクチン、不活化ワクチンに対する優越性を確認/NEJM(2025/12/16) アブレーションしたら抗凝固薬やめられる?(解説:後藤信哉氏)(2025/12/16) 認知症に伴う食欲不振やアパシーに対する人参養栄湯の有用性(2025/12/16) ブロッコリーやキャベツ摂取量が多いほど乳がんリスク低下/SABCS2025(2025/12/16) 毎年、極端な暑さや寒さで何千人もの人が死亡(2025/12/16) 超加工食品は若年成人の糖尿病リスクを押し上げる(2025/12/16) 男性患者のED・LUTSに潜む肝線維化、FIB-4 indexによる包括的アセスメントの重要性(2025/12/16)