統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/02/19 統合失調症リスク遺伝子と関わりを持っていることなどが知られている「NDEL1」。統合失調症の臨床診断および薬物治療のバイオマーカーとして、血中NDEL1酵素活性が期待できることが示された。ブラジル・サンパウロ連邦大学のAry Gadelha氏らが、統合失調症患者と健常対照者の血中NDEL1酵素活性レベルを比較し、臨床プロファイルや治療反応との関連を調べた結果、統合失調症患者では同値が有意に低いことなどが示されたという。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年2月3日号の掲載報告。 NDEL1オリゴペプチダーゼは統合失調症リスク遺伝子DISC1と作用し合って、神経突起伸長や神経細胞遊走に関連するいくつかの機能を伝達し、また、統合失調症発症に先立ち神経ペプチドを加水分解すること(ニューロテンシンとブラジキニン)が知られている。研究グループは、こうしたNDEL1の特性を踏まえて、統合失調症患者と健常対照者における同値を測定し比較した。NDEL1酵素活性は、FRETペプチド基質Abz-GFSPFRQ-EDDnp加水分解率の蛍光定量的測定によって判定した。 主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者92例、健常対照者96例について、血中NDEL1酵素活性を測定し比較した。 ・統合失調症患者は健常対照者と比べて、Ndel1酵素活性が平均31%低かった(Student's t検定=4.36、p<0.001、Cohen's d=0.64)。 ・NDEL1酵素活性と統合失調症患者/健常対照者のステータスに関するROC曲線下面積(AUC)は、0.70であった。 ・治療抵抗性(TR)の統合失調症患者では、治療に反応した(NTR)患者と比べて、NDEL1酵素活性がt検定解析の結果、有意に低かった(t=2.25、p=0.027)。 ・より低いNDEL1酵素活性は、NTR患者(p=0.002、B=1.19、OR:3.29、95%CI:1.57~6.88)、TR患者(p<0.001、B=2.27、OR:9.64、95%CI:4.12~22.54)のいずれとも有意な関連がみられた。 ・NDEL1酵素活性と、抗精神病薬投与量、ニコチン依存、BMIとには関連は認められなかった。 ・本検討は、統合失調症患者と健常者との比較でNDEL1酵素活性の差を検討した最初の試験であり、TR患者はNTR患者と比較して同活性が有意に低いことを初めて示した。その知見は、統合失調症の臨床診断および薬物治療において、NDEL1酵素活性は意味があることを支持する。 関連医療ニュース ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・検証!統合失調症患者の体重増加と遺伝子の関連 ・初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 (ケアネット) 原著論文はこちら Gadelha A et al. J Psychiatr Res. 2013 Feb 3. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13)