摂食てんかん(Eating Epilepsy)は、食事摂取によりてんかん発作が誘発される反射性てんかんの一つであるが、その病態はまだ十分に認識されていない。今回、この摂食てんかんについて、大半が最初の誘発刺激から長い期間を経て発症し、治療抵抗性の経過をたどるという特徴があることが、トルコ・イスタンブール大学のUlgen Kokes氏らにより明らかにされた。Clinical EEG and Neuroscience誌オンライン版2013年2月6日号の掲載報告。
摂食てんかんは食事中に種々のメカニズムを介して起こる
本研究では、摂食てんかんの特徴を明らかとするため、てんかん患者8,996例のカルテファイルをレトロスペクティブに調べた。その結果、摂食てんかん患者は6例のみ(0.067%)で認められた。男性が4例、女性が2例であり、年齢は20~63歳であった。
摂食てんかん患者6例に認められた所見は以下のとおり。
・6例には焦点発作がみられ、大半が食事により誘発された認知不全または経験的前兆があり、自発性の発作であった。
・全例で、初期にてんかん発作の誘発刺激(頭部/分娩時外傷または脳炎)があった。
・4例は食事の途中または食事直後にてんかん発作が起こり、2例は食事開始時にてんかん発作が起きた。このことから、2つの異なる摂食てんかんメカニズムの存在が示唆された。
・MRI所見は2例で正常であったが、その他の症例では異常がみられた。
・脳波所見において、5例で左側頭領域の広い範囲で頻繁なスパイク(棘波)が認められ、1例は右側頭領域で同所見がみられた。また、左側頭に由来する発作が3例で記録された。
・2例において、脳波所見とPET検査所見が一致していた。
・1例を除き、治療抵抗性の経過をたどった。
・以上より著者は、摂食てんかんの特徴を以下のようにまとめた。
・頻度が少なく、きわめてまれである。
・初期の誘発刺激から長い期間を経た後に起こる。
・大半が認知不全または経験的前兆を伴い、通常、発作は左側頭領域に由来する。
・多くが治療抵抗性の経過をたどる
・食事中に種々のメカニズムを介して起こる。
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(ケアネット)