注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に用いられる中枢神経刺激剤メチルフェニデート。カナダ・アルバータ大学のSalima Punja氏らは、小児のADHDに対するメチルフェニデートの有効性および安全性に関して長時間作用型製剤と短時間作用型製剤で違いがあるかをシステマティックレビュー、メタアナリシスにて検討を行った。BMJ open誌オンライン版2013年3月15日号の報告。
18歳未満の小児ADHD患児を対象としたメチルフェニデートの長時間作用型製剤と短時間作用型製剤を比較したランダム化比較試験(RCT)の英語文献をCENTRAL、MEDLINE、PreMEDLINE、CINAHL、EMBASE、PsychINFO、Scopus、Web of Scienceにて検索を行った(1950年から2012年)。追加研究のため該当文献の参考文献リストの確認も行った。文献の抽出、データとバイアスのリスク評価は2名のレビュアーが独立して行った。連続的なアウトカムは治療群間で標準化平均差(SMD)を用いて行った。有害事象は治療群間のリスクの差により評価した。異質性は使用された長時間作用型製剤の種類に基づいて、サブグループ解析により検討した。
主な結果は以下のとおり。
・13のRCTから882例のデータが得られた。
・多動性・衝動性に関して親の報告を用いた3試験では、長時間作用型製剤が支持された(SMD:-0.30、95%CI:-0.51 ~ -0.08])。
・対照的に、多動性に関して教師の報告を用いた3試験では、短時間作用型製剤が支持された(SMD:0.29、95%CI:0.05 ~ 0.52])。
・不注意・過活動に関して親の報告を用いた3試験のサブグループ解析では、浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)による長時間作用型製剤が支持された(SMD:-0.35、95%CI:-0.52 ~ -0.17])。また、第2世代薬は短時間作用型製剤より有効性が劣る結果であった(SMD:0.42、95%CI:0.17 ~ 0.68])。
・有害事象は長時間作用型製剤のほうが短時間作用製剤と比較し、わずかに多かった(578 vs 566)。
・本システマティックレビューより、長時間作用型製剤は、親の報告から、多動性・衝動性や不注意・過活動について適度な効果があることが示唆された。一方で、多動性についての教師の報告では、短時間作用型製剤がより評価されていた。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)