Aβ沈着は認知機能にどのような影響を与えるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/04/09 米国・ピッツバーグ大学のBeth E. Snitz氏らは、認知症発症前のアミロイドβ(Aβ)沈着が認知機能低下と関連しているか否かを検討した。その結果、画像検査で認知症が確認される前の段階で、Aβ沈着が認められる患者は認められない患者に比べて実行機能が大きく低下していることを報告した。Neurology誌オンライン版2013年3月20日号の掲載報告。 認知症を発症していないがAβ沈着が高頻度(55%)に認められる超高齢者(90~100歳)のコホートにおいて、画像検査で確認される前の認知機能低下とAβ沈着との関連について検討を行った。Ginkgo Evaluation of Memory Study(GEMS)に登録され、試験を完了し認知症を認めない194例(平均年齢:85.5歳、範囲:82~95)を対象に、PIB(Pittsburgh compound B)-PETを施行した。また、神経画像検査の7~9年前のGEMS登録時に完了したさまざまな神経心理学的検査を基に、Aβ沈着の状況と実行機能との横断的関連を検討した。さらに、毎年認知機能を評価し、線形混合モデルを用いて長期的な評価も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・2009年にAβ沈着が確認された症例についてGEMSスクリーニング期(2000~2002年)の状況をみたところ、Stroop test(p<0.01)、Raven's Progressive Matrices(p=0.05)において実行機能の低下、空間能力レベルの低下傾向が認められた(p=0.07)。 ・長期解析の結果、Rey-Osterrieth図形テストにおける即時再生および遅延再生、意味流暢性、Trail-Making TestのパートAおよびBにおいて有意な直線の傾きが認められた。 ・すなわち、Aβ沈着が認められる患者は認められない患者に比べて、画像検査で確認される前の段階で、実行機能が相対的に大きく低下していることが示された(ps<0.05)。 ・Aβ沈着が高頻度に認められる超高齢者では、視覚的記憶、意味流暢性、精神運動速度などの認知機能が低下しており、これは画像検査で認知症が確認される7~9年前から始まっていることが示された。 ・すなわち、Aβ沈着が認められる患者と認められない患者における、実行機能を主とする非記憶領域平均の差は、画像検査で認知症が確認される7~9年前に検出しうると考えられた。 関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 ・抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? (ケアネット) 原著論文はこちら Snitz BE et al. Neurology. 2013 Mar 20. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)