早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/04/19

 

 統合失調症の早期では認知障害がみられる。この認知障害にGABA作動性機能障害の関与が注目されるようになっている中、和歌山県立医科大学神経精神医学教室の高橋 隼氏らは、発症間もない統合失調症患者の認知機能障害に、皮質GABA作動性抑制が低下しワーキングメモリ機能を障害していることが示唆されることを報告した。Schizophrenia Research誌2013年5月号(オンライン版2013年3月22日号)の掲載報告。

 著者らは、皮質GABA作動性抑制が、2連発経頭蓋磁気刺激法(ppTMS)による短間隔皮質内抑制(SICI)によって評価が可能であることから、この手法を用いて、発症間もない統合失調症患者の皮質GABA作動性抑制と認知機能との関連について調べることを目的とした。被験者は、健康対照被験者(HC群)20例と統合失調症発症から3年未満の患者(SZ群)20例であった。すべての被験者に対し、ppTMS測定によるSICI、および皮質内促通(ICF)の評価を行い、またSZ群については、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS日本語版)を用いた認知機能の評価を行った。解析では、ppTMS測定値(安静時運動閾値、SICI、ICF)の群間差を調べ、SZ群のSICIと認知機能の関連、またSICIと年齢、疾患期間、薬物治療、精神病理との関連を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・SZ群はHC群と比べて、SICIの有意な低下がみられた。また、SICI低下とワーキングメモリ領域の実行機能の障害との間に有意な関連が認められた。
・HC群とSZ群の間に、安静時運動閾値とICFに関する有意な差はみられなかった。
・SZ群において、SICIと年齢、疾患期間、薬物療法および精神病理について、いずれも有意な関連はみられなかった。

関連医療ニュース
統合失調症認知評価尺度SCoRS、臨床での有効性を実証
ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性
統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

(ケアネット)