慢性腰痛患者におけるオピオイド療法の効果はうつや不安に影響される 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/04/19 非がん性慢性疼痛患者ではしばしば、抑うつや不安といったネガティブ感情がみられる。こうしたネガティブ感情は疼痛の強さと関連しており、オピオイド治療が長期化する可能性が高い。米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のRobert N. Jamison氏らは、ヒドロモルフォン徐放性製剤のプラセボ対照二重盲検試験について2次分析を行い、ネガティブ感情はオピオイド療法のベネフィットを減弱させ、臨床試験においては脱落の予測因子となることを報告した。Pain Practice誌2013年3月号(オンライン版2012年1月11日号)の掲載報告。 慢性腰痛を有するオピオイド耐性患者を対象としたヒドロモルフォン徐放性製剤のプラセボ対照二重盲検試験の2次分析を行い、試験開始時のネガティブ感情のレベルが治療関連予後を予測できるかについて検証した。 2~4週間の用量調節/変更期に459例が参加し、このうち268例がヒドロモルフォン群またはプラセボ群に無作為化された(二重盲検期)。 試験開始時、病院不安およびうつ尺度(HADS)を用いて評価し、そのスコアに基づきネガティブ感情が低群(157例)、中群(155例)、高群(147例)の3群に均等に分け、試験期間中に自宅や病院で測定した疼痛スコア、ローランドモリス障害スコア、主観的オピオイド離脱症状スコア(SOWS)を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・二重盲検期を完了したのは268例中110例であった。 ・ネガティブ感情が中および高群は、低群と比較して用量調節/変更期に有害事象または無効のため脱落例がより多かった(p<0.05)。 ・ネガティブ感情が中および高群は、低群と比較して疼痛スコア(p<0.05)およびローランドモリス障害スコア(p<0.01)が有意に高く、SOWSで高頻度に禁断症状がみられた(p<0.05)。 ・ネガティブ感情のスコアの高さは、用量調節期における試験薬に対する好感度の低さも予測した(p<0.05)。 ・プラセボ群では、ネガティブ感情が高群で最も大きな疼痛改善が示された(p<0.05)。 ~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中! ・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる ・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる ・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート (ケアネット) 原著論文はこちら Jamison RN et al. Pain Pract. 2013 Mar;13(3):173-81. Epub 2012 Jun 11. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)