抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/16 北里大学薬学部の橘 洋介氏らは、抗てんかん薬の臨床試験でみられるプラセボ効果に関与する因子について検討を行った。その結果、東アジアと欧米諸国ではプラセボ効果に差がみられること、長い罹病期間と複雑部分発作の存在がプラセボ効果の減弱に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「プラセボ効果の地域差の理由は明らかでないが、将来的に部分てんかんに対する抗てんかん薬の臨床試験をデザインするにあたり、プラセボ効果に関与する患者特性を慎重に考慮する必要がある」と指摘している。Clinical Drug Investigation誌2013年5月号の掲載報告。 抗てんかん薬の臨床試験においてプラセボ効果が認められることが知られており、これに関する検討が行われている。最近のメタアナリシスでは、東アジアの試験で予想外の高いプラセボ効果が示された。多国間試験が広く実施されるようになってきている中、将来の臨床試験のために地域や国によるプラセボ効果の相違を理解しておくことは重要である。本メタ解析では、難治性部分てんかん成人患者に対する併用療法の臨床試験において、プラセボ効果に関与する因子を東アジア人と欧米人で比較検討することを目的に実施した。東アジアと欧米諸国で実施され、公表されている臨床試験論文を基にデータベースを作成し、プラセボ効果の程度と潜在的影響因子との関連について、ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・5種類の抗てんかん薬(ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタム、プレガバリン[本疾患には国内未承認]、ゾニサミド)に関連する33件の臨床試験よりデータベースを作成した。 ・プラセボ効果は、罹病期間、ベースライン時の複雑部分発作を有する患者の割合、2種類の抗てんかん薬が投与されている患者の割合、ベースライン時の発作頻度といった患者特性、および臨床試験の報告年と関連していた。 ・長い罹病期間とベースライン時の複雑部分発作は、プラセボ効果の減弱に関連していた。 ・ロジスティック回帰分析により、東アジアで実施された試験のプラセボ効果のほうが、欧米諸国で実施された試験と比較して統計学的に高かった。 関連医療ニュース ・疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も ・抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 ・てんかんと寄生虫感染との関連説を確認 (ケアネット) 原著論文はこちら Tachibana Y, et al. Clin Drug Investig. 2013 May;33(5):315-24. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)