統合失調症に「サッカー療法」その効果は? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/24 イタリア・パレルモ大学のGiuseppe Battaglia氏らは、精神疾患を有する患者について、QOLとスポーツパフォーマンス(SP)における“サッカープラクティス”の効果を調べる無作為化介入試験を行った。その結果、サッカーで身体を動かす介入プログラムが、統合失調症患者における抗精神病薬関連の体重増加を抑制することや、自己申告の健康関連の生活の質(SRHQL)やSPを改善可能であることが示されたと報告した。身体活動は誰にとっても健康のために重要であるが、とりわけ生活習慣が不健全となりがちな精神疾患を有する患者にとって重要である。研究グループは近年、重度の精神疾患患者の健康面を改善する手段としてサッカーに注目が集まっていることから本検討を行ったという。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2013年5月号(オンライン版2013年5月3日号)の掲載報告。 試験は、統合失調症とした診断された男性患者18例を対象とした。研究グループは被験者を無作為に、12週間にわたる週2回のサーカートレーニングセッションを受けるトレーニング介入群と、試験期間中にとくに定期的なスポーツ活動を行わない対照群に割り付け、試験期間前後に、身体測定、SRHQL、30m走の記録、ドリブルのスラロームテストを行い評価した。SRHQLは、SF-12質問票の身体・精神的スコアにて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・トレーニング期間終了後、介入群は体重とBMIがベースライン時より4.6%減少した。 ・一方で、対照群はベースラインから試験終了までに、体重、BMIが1.8%増大した。12週間後に、対照群は介入群と比較して体重が有意に増大したことが認められた(Δ=5.4%、p<0.05)。 ・トレーニング期間終了後、介入群のSF-12質問票スコアはベースラインと比べて、身体的領域については10.5%、精神的領域は10.8%改善したことが認められた。また、30m走とドリブルスラロームテストの記録も、対照群と比較した場合、ベースラインから介入後に有意な改善が認められた。 ・“サッカープラクティス”は、統合失調症患者の身体面および精神面の健康を改善することが示唆された。 関連医療ニュース ・統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか? ・この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? ・うつ病治療に「チューインガム」が良い!? (ケアネット) 原著論文はこちら Battaglia G et al. Neuropsychiatr Dis Treat. 2013; 9:595-603. Epub 2013 May 3. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02)