精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/05/27

 

 最近の精神疾患患者は、自身の疾患に関して情報過多の状況にある。しかしながら、精神疾患患者が知りたいと思う内容に関する系統的研究はほとんど行われていなかった。英国・ロンドン大学のClaudia Hallett氏らは、統合失調症および気分障害患者が自身の疾患に関して知りたいと思っている内容、情報収集の手段に関するインタビュー調査を行った。その結果、知りたい内容の第1位は「疾患の原因」であり、精神科医と1対1の対話の中で情報を得たいと思っている実態を明らかにした。Psychiatric Services誌オンライン版2013年5月15日号の掲載報告。

 本研究は、統合失調症および気分障害の外来患者に、彼らが疾患について知りたいと思っている内容、およびどのようにして情報を得たいのかについて質問を行い、認識のギャップを調べた。2011年4月~2012年6月に、英国のイーストロンドン全域にある外来クリニックの精神疾患患者202例を対象に、探索的サーベイを実施した。対象者の内訳は、統合失調症または関連する障害(ICD-10コード:F20-F29)が106例、気分障害(同:F30-F39)が96例であった。通常の診察の後に、自由回答式と選択回答式の質問によるインタビューを実施し、自由回答式の質問は定性的に、選択回答式の質問は定量的に解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・3分の2を超える精神疾患外来患者(68%)が、疾患についてさらに学びたいと回答した。
・学びたい内容は多様であったが、必要とする情報の第1位は「疾患の原因」であった。
・大半の患者(統合失調症患者の92%、気分障害患者の84%)が精神科医と1対1の対話の中で情報を得たいと思っていた。
・以上の結果を踏まえて著者は、「疾患に関する患者教育に万能なアプローチはない。医療従事者は各患者の学習の嗜好に敏感でいる必要がある。嗜好はさまざまなで、グループによるアプローチが必要になることもある。精神科医にはトレーニングが求められ、とくに患者が抱いている“疾患の原因に関する疑問”に対する回答を準備しておく必要がある」とまとめている。

関連医療ニュース
統合失調症・双極性障害患者は「痛み」を抱えている
双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには?
統合失調症に「サッカー療法」その効果は?

(ケアネット)