統合失調症の陰性症状と関連する「努力コスト」の障害とは? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/07/26 統合失調症の陰性症状である動機づけ障害は、努力コスト(effort cost)の算出機能の障害と関連している可能性を、米国・メリーランド大学のJames M. Gold氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「努力コストは、徐々に意欲を蝕む可能性があるようだ」と結論している。Biological Psychiatry誌2013年7月15日号の掲載報告。 意思決定の研究において、「努力コスト」が影響する反応では、選択的な反応が認められることが示されている。努力コストは、前帯状皮質やドパミンニューロンの皮質下ターゲットなどの分散処理神経回路を介して算出されていると考えられているという。研究グループは、統合失調症ではこれらシステムが障害されているというエビデンスに基づき、努力コストの算出機能が、統合失調症患者では障害されていること、およびその障害が陰性症状と関連しているかについて調べる、努力コストの意思決定評価を行った。統合失調症患者と人口統計学的に適合した対照被験者について、コンピュータタスクの試験を行った。連続30試験を提示し、20ボタンを押せば1ドルを、100ボタン以上を押せば3ドルから7ドルを得られる選択肢が与えられた。また、報酬レシートの確実性という試験で、確実(100%)または非確実(50%)な報酬が努力コストという発想に基づく意思決定に影響を与えたかどうかについても評価を行った。 主な結果は、以下のとおり。 ・患者群44例、対照群36例を対象とした。 ・患者群は対照群と比較し、報酬が100%確実であるという環境下において、高い努力コストの選択肢を選ぶことが少なかった。とくに支払対価が高い選択肢(6ドル、7ドルなど)で少なかった。 ・報酬が50%確実であるという環境下においても、同様の結果が得られた。 ・さらに、これらの努力コスト算出の障害は、陰性症状が高い患者において、最も大きかった。 ・ハロペリドールの投与量との関連はみられなかった。 関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Gold JM et al. Biol Psychiatry. 2013 Jul 15;74(2):130-6. Epub 2013 Feb 7. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22)