抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/07/30 統合失調症の治療において、異なる抗精神病薬の比較や切り替えを行う場合、等価換算が重要となる。この等価換算の方法は、比較試験のデザインでも重要となるが、現時点ではゴールドスタンダードと呼べる方法はないことを、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaxine X. Patel氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。そのため、抗精神病薬の直接比較試験では過大評価も過小評価も起こりうる可能性があるとして、著者は「臨床試験では必ず、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。 システマティックレビューは、抗精神病薬の等価換算の方法について入手可能であった方法を同定し、批判的に評価することを目的とした。文献検索は、Medline、PubMedおよび製薬会社に依頼した追加情報を用いて行われた。同定された方法は、科学的な厳密さ、その方法を支持するソースデータの質、臨床的適用性、有用性に関して特定の基準に照らし合わせて評価された。 主な結果は以下のとおり。 ・11論文が、抗精神病薬の等価換算の方法論について記載をしていた。 ・そのうち7論文が、クロルプロマジンの等価量、最大用量、常用量などの算出方法を紹介していた。それらは、固定および非固定用量の両方のデータからのエビデンスベースに基づいていた。 ・残る4論文は、専門家の知識と経験に基づいたコンセンサスメソッドについて記載していた。 ・同等性試験の大部分では、クロルプロマジンが一般的な比較薬として用いられていた。一方、コンセンサスメソッドではリスペリドンが最も多かった。 ・著者は、「抗精神病薬の等価用量を算出する方法の比較の結果、方法が異なると等価量が異なることが示された。また、それらの方法のいずれもゴールドスタンダードとみなすのに十分なほど強力なエビデンスはなかった」とまとめている。 ・そのため、抗精神病薬の直接比較の固定用量試験をデザインする際に、選択する方法によって、用量について過大および過小の両方のバイアスが生じる可能性があることを指摘し、「臨床試験報告では常に、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。 関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 アリピプラゾールvsその他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー 抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差 (ケアネット) 原著論文はこちら Patel MX et al. Schizophr Res. 2013 Jul 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] タクシーと救急車の運転手、アルツハイマー病による死亡率低い/BMJ(2024/12/27) 低リスクDCIS、積極的モニタリングvs.標準治療/JAMA(2024/12/27) アルツハイマー型認知症になりたくなければタクシーか救急車の運転手になろう?(解説:岡村毅氏)(2024/12/27) 診療所のマイナ保険証利用率は10%未満の施設が約7割/日医(2024/12/27) 抗精神病薬の多剤併用は50年間でどのように変化したのか(2024/12/27) 心房細動の早期発見、早期介入で重症化を防ぐ/日本心臓財団(2024/12/27) 食品中の果糖はがんの進行を促進する?(2024/12/27) 明晰な頭脳の維持には骨格筋量の維持が重要(2024/12/27)