統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/08/19 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症の増強療法としてノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA:ミルタザピン、ミアンセリン)が有用かを系統的レビューにより検討した。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年7月3日号の報告。 系統的レビューは、2012年12月にPubMed、コクランライブラリー、PsycINFOから無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験のメタアナリシスを検索した。 主な結果は以下のとおり。 ・12試験、362例が抽出された(ミルタザピン:7試験、221例、ミアンセリン:5試験、141例)。 ・NaSSa増強療法はプラセボと比較し全体的な症状(SMD=-0.75、95%CI:-1.24~-0.26、p=0.003、11試験、301例)、陰性症状(SMD=-0.88、95%CI:-1.41~-0.34、p=0.001、9試験、240例)、奏効率(RR=0.71、95%CI:0.57~0.88、p=0.002、NNT=4、p<0.00001、6試験、163例)において優れていた。陽性症状、抑うつ症状、中止率では有意差はみられなかった。また、試験中に精神症状の悪化が認められた患者はいなかった。 ・ミルタザピンによる増強療法はプラセボと比較し全体的な症状(SMD=0.98、95%CI:-1.74~-0.22、p=0.01、7試験、194例)、陰性症状(SMD=-1.25、95%CI:-1.88~-0.62、p=0.0001、6試験、172例)、奏効率(RR=0.70、p=0.04、NNT=4、p=0.0004、4試験、119例)において優れていた。 ・NaSSa増強療法はアカシジアスコア(p<0.00001)、錐体外路症状スケール(p=0.01)の減少と関連していた。しかし、眠気、鎮静、傾眠を引き起こした(RR=3.52、p=0.002、NNT=6、p=0.01、8試験、209例)。 ・NaSSa増強療法(とくにミルタザピン)は統合失調症患者の全体的な症状および陰性症状を改善させることが示唆された。 関連医療ニュース 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大 統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか?:藤田保健衛生大学 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kishi T, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2013 Jul 3:1-12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA(2025/01/23) 妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA(2025/01/23) 透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大(2025/01/23) MASLD患者の転帰、発症リスクに性差(2025/01/23) 25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析(2025/01/23) タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?(2025/01/23) 米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成(2025/01/23)