抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36% 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/08/29 アジア人の高齢統合失調症患者における抗精神病薬の処方状況が調査された。その結果、50歳以上のアジア人統合失調症患者の3分の1以上が高用量の抗精神病薬を使用しており、低~中用量を処方されている患者に比べ罹病期間が長く、現在陽性症状または陰性症状を呈している割合が多く、処方されている抗精神病薬の種類が多いことなどを香港中文大学のYu-Tao Xiang氏らが報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。 本研究は、アジア人の高齢統合失調症患者における、抗精神病薬高用量使用(クロルプロマジン換算600 mg/日以上)の実態と、その患者背景ならびに臨床特性との関連を検討することを目的とした。Research on Asian Psychotropic Prescription Patterns studyのデータベースを用い、50歳以上の統合失調症入院患者に関する2001~2009年までの情報を抽出した。中国、香港、日本、韓国、シンガポールおよび台湾を含むアジア6ヵ国・地域の患者2,203例のデータを解析に組み込み、社会人口統計学的および臨床的特徴、抗精神病薬の処方状況を確認した。 主な結果は以下のとおり。 ・高用量の抗精神病薬が処方されていた割合は、全体で36.0%であった。年代別では、2001年38.4%、2004年33.3%、2009年36.0%であった。 ・多重ロジスティック回帰解析により、低~中用量の抗精神病薬を処方されていた患者に比べ、高用量を処方されていた患者は、罹病期間が長く(オッズ比[OR]:2.0、95%信頼区間[CI]:1.2~3.3、p=0.008)、50~59歳の年齢層が多く(OR:0.95、95%CI:0.94~0.97、p<0.001)、現在陽性症状(OR:1.5、95%CI:1.2~1.8、p<0.001)または陰性症状(OR:1.3、95%CI:1.03~1.6、p=0.03)を呈している割合が高く、複数の抗精神病薬が処方されていた(OR:5.3、95%CI:4.1~6.7、p<0.001)。 ・高用量グループで錐体外路症状(p=0.25)および遅発性ジスキネジア(p=0.92)の頻度が高いということはなかった。 ・以上のように、アジア人統合失調症患者の3分の1以上が高用量の抗精神病薬を使用していた。この理由に関してはさらなる検討が求められる。 関連医療ニュース 認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用 抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター (ケアネット) 原著論文はこちら Xiang YT et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2013 Aug 13. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23)