若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/09/26

 

 統合失調症患者は一般集団と比較して寿命が短く、その主な死亡原因として心血管疾患が関与している。一方で、第二世代抗精神病薬(SGA)の使用は、有意な体重増加と代謝性副作用と関係していることが知られるが、特定の診断群、とくに若年発症統合失調症における情報は限定的であった。オーストラリア・Orygen Youth HealthのBrian O'Donoghue氏らによる検討の結果、若年発症統合失調症へのSGA治療では、代謝性の副作用に関する定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要であることが報告された。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。

 研究グループは、若年発症統合失調症の初発エピソードを有した未治療の小児および若者コホートについて、SGA(とくにオランザピン、リスペリドン、クエチアピン)の代謝性副作用について調査した。BMI、血清コレステロール値、同トリグリセリド値を、ベースラインと追跡中央値7ヵ月時点で測定し検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・コホート被験者は合計49例であった。そのうち追跡調査が完了したのは36例(74%)であった。
・SGA治療開始後、任意に抽出したコホートにおいて、BMI、トリグリセリド、コレステロールの有意な上昇がみられた。
・小児と若者の3人に1人は、トリグリセリドとコレステロールの値が異常値であった。用量依存反応はみられなかった。
・オランザピンとクエチアピンは、トリグリセリドの上昇がより大きかった。
・以上を踏まえて著者は、「若年発症統合失調症では、代謝性副作用について定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要である」と結論した。

関連医療ニュース
若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に
統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査
抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

(ケアネット)