抑うつ症状とメタボリックシンドローム(MetS)との関連については依然議論のあるところである。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座の竹内 武昭氏らは、日本人男性における抑うつ症状とMetSの関連について、非定型うつ病またはそれ以外の大うつ病性障害(MDD)に分けて検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号(オンライン版2013年10月23日号)の掲載報告。
本研究は、MetSと抑うつとの関連を明らかにし、非定型うつ病の特徴を考察することを目的とした。対象は、20~59歳の日本人男性1,011例。Metは、International Diabetes Federation (IDF)の基準に従い診断した。MDDは、DSM-IVに基づく面接で診断し、非定型とそれ以外に分類した。MDDなし群、非定型うつ病群、非定型以外のMDD群におけるMetSの頻度を傾向解析により比較検討した。多重ロジスティック回帰解析により、MetSと非定型うつ病との関連ならびにその特徴を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・141例(14.0%)がMetS、57例(5.6%)がMDD(非定型うつ病群14例、非定型以外のMDD群43例)と診断された。
・MetSの頻度は非定型うつ病群で最も高く、次いで非定型以外のMDD群、MDDなし群の順であり、わずかに有意な傾向がみられた(p=0.07)。
・MetSが抑うつに関連する補正後オッズ比は、非定型うつ病群では3.8(95%信頼区間[CI]:1.1~13.2)、非定型以外のMDD群では1.6(95%CI:0.7~3.6)であった。
・非定型うつ病の5つの特徴の中で、MetSと関連が認められたのは過食のみであった(オッズ比:2.7、95%CI:1.8~4.1)。
・以上より、MetSと非定型うつ病の間に正の関連が認められたが、非定型以外のMDDとの間には関連がみられなかった。過食は、MetSと非定型うつ病の関連に影響を及ぼす明らかに重要な因子だと思われた。
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