精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/09

 

 精神病性うつ病に対しては、抗うつ薬と抗精神病薬の併用、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法などが考慮されるが、最適な薬物治療のエビデンスは限られていた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJaap Wijkstra氏らは、精神病性うつ病に対する薬物療法のエビデンスをレビューした。その結果、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法が、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法に比べ、うつ症状の軽減に有効であることを報告した。今回の知見についても、著者は「精神病性うつ病に関する検討は多いが、結論の信頼性は十分なものではなかった。抗うつ薬と抗精神病薬の併用がそれぞれの単独またはプラセボに比べて有効であることを示すエビデンスがいくつかあるが、抗うつ薬または抗精神病薬単独療法のエビデンスは限られている」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviews2013年11月26日号の掲載報告。

 本検討は、2005年に行われ2009年に更新されたレビューのアップデート報告である。研究グループは、急性期の精神病性うつ病患者に対する薬物治療として、抗うつ薬単独療法、抗精神病薬単独療法および抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法の有効性を比較するとともに、現在のエピソードにおける治療効果の差が前治療無効と関連しているかどうかを評価した。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group Register(CCDANCTR)を用い、EMBASE(1970年~)、MEDLINE(1950年~)、PsycINFO(1960年~)などのデータベースから、2013年4月12日までに発表された無作為化比較試験を検索した。すべての試験と関連するレビューの引用文献を確認し、筆頭著者に連絡をとった。精神病性の急性大うつ病患者を含むすべての無作為化比較試験(RCT)、急性大うつ病患者(精神病性かどうかを問わないが、精神病性の患者のサブグループについて別に報告あり)を含むRCTを選択した。2名のレビュワーが独立してデータを抽出し、改訂版ツールRevMan 5.1と照合し、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions基準に基づいて試験のバイアスを評価。intention-to-treatデータを用い、二分法的有効性アウトカム、リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・連続分布アウトカムは抽出できなかった。主要アウトカムは、うつ重症度(反応)の軽減とした(精神病症状の重症度ではなく)。主要有害アウトカムは、すべての試験において脱落率しか適用できなかった。
・3,659件のアブストラクトが検索されたが、レビュー可能であったのは12件のRCT、計929例であった。臨床的不均一性のため、メタアナリシスはほとんど不可能であった。
・抗うつ薬と抗精神病薬の併用は、抗うつ薬単独療法(RCT 3件、RR:1.49、95%CI:1.12~1.98、p=0.006)、抗精神病薬単独療法(同4件、1.83、1.40~2.38、p=0.00001)、プラセボ(同2件、1.86、1.23~2.82、p=0.003)に比べて有効であった。
・しかし試験間において、診断、ランダム化の不確実性、割付の盲検性に差があったほか、治療法(抗うつ薬や抗精神病薬の種類)、アウトカムの基準に関しても差があり、バイアスのリスクは大きかった。

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(ケアネット)