ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/01/20 ドイツ・Drug-Consult.NetのChris Rundfeldt氏らは、てんかんに対する新たな治療薬として、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体部分アゴニストの可能性について言及した。現在、BZD受容体部分アゴニストとしてイミダゾロン誘導体のイメピトインが、イヌのてんかん治療薬として承認されており、従来のBZDでみられる有害事象、忍容性、依存性などの問題を解決する新たな治療薬としてヒトへの応用が期待されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年12月号の掲載報告。 BZDは、多様なてんかん発作に対し幅広い抗てんかん活性を示すが、てんかんの治療に際しては、有害事象、有効性の欠如(忍容性)、身体および精神依存の形成などから使用に限界がある。BZDは、GABAA受容体のBZD認識部位(BZD受容体)に結合することにより、抑制性神経伝達物質GABAの正のアロステリック調節因子として機能する。従来のBZDであるジアゼパムやクロナゼパムなどは、同部位においてフルアゴニストとして作用する。そこでRundfeldt氏らは、これら化合物による前述のデメリットを解決する手段として、GABAA受容体のBZD認識部位において、より低い固有活性を有する部分アゴニストの開発が考えられることを指摘した。 部分アゴニストに関して得られている知見は以下のとおり。 ・ブレタゼニル、アベカルニル、アルピデム(いずれも国内未承認)を含む数種のBZD受容体の部分アゴニストまたはサブタイプの選択的化合物が、選択性の高い抗不安薬として開発されたが、適応症に「てんかん」は含まれていない。 ・最近、イミダゾロン誘導体のイメピトイン(ELB138)およびELB139が、GABAA受容体のBZD部位において低親和性の部分アゴニストとして作用することが示され、てんかん治療薬としてイメピトインの開発が進められた。 ・イメピトインは、げっ歯類および霊長類のモデルを用いた検討で、多様なけいれん発作に対し耐用量で広い抗けいれん活性を示した。 ・イメピトインは、その作用メカニズムから予想されるように、忍容性が不十分で、乱用傾向もみられた。 ・イメピトインは、ヒトよりもイヌで好ましい薬物動態プロファイルを示したことから、イヌのてんかん治療薬として開発が進んだ。イヌのてんかんモデルを用いた無作為化対照試験で示された抗てんかん薬としての有効性と高い忍容性、安全性に基づき、最近ヨーロッパでイメピトインがイヌのてんかん治療薬として承認された。 ・イヌのてんかんに対するイメピトインの好ましいプロファイルをきっかけに、ヒトのてんかんに対する新たな治療としてBZD受容体部分アゴニストへの関心が再び高まるものと期待される。 関連医療ニュース 新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証 ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は? (ケアネット) 原著論文はこちら Rundfeldt C et al. CNS Drugs. 2014 Jan;28(1):29-43. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA(2025/01/23) 妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA(2025/01/23) 透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大(2025/01/23) MASLD患者の転帰、発症リスクに性差(2025/01/23) 25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析(2025/01/23) タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?(2025/01/23) 米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成(2025/01/23) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01) Step By Step!初期診療アプローチ<第3巻> 【神経症候シリーズ(前編)】(2012/12/01) Step By Step!初期診療アプローチ<第4巻> 【神経症候シリーズ(後編)】(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)