ドイツ・Drug-Consult.NetのChris Rundfeldt氏らは、てんかんに対する新たな治療薬として、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体部分アゴニストの可能性について言及した。現在、BZD受容体部分アゴニストとしてイミダゾロン誘導体のイメピトインが、イヌのてんかん治療薬として承認されており、従来のBZDでみられる有害事象、忍容性、依存性などの問題を解決する新たな治療薬としてヒトへの応用が期待されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年12月号の掲載報告。
BZDは、多様なてんかん発作に対し幅広い抗てんかん活性を示すが、てんかんの治療に際しては、有害事象、有効性の欠如(忍容性)、身体および精神依存の形成などから使用に限界がある。BZDは、GABAA受容体のBZD認識部位(BZD受容体)に結合することにより、抑制性神経伝達物質GABAの正のアロステリック調節因子として機能する。従来のBZDであるジアゼパムやクロナゼパムなどは、同部位においてフルアゴニストとして作用する。そこでRundfeldt氏らは、これら化合物による前述のデメリットを解決する手段として、GABAA受容体のBZD認識部位において、より低い固有活性を有する部分アゴニストの開発が考えられることを指摘した。
部分アゴニストに関して得られている知見は以下のとおり。
・ブレタゼニル、アベカルニル、アルピデム(いずれも国内未承認)を含む数種のBZD受容体の部分アゴニストまたはサブタイプの選択的化合物が、選択性の高い抗不安薬として開発されたが、適応症に「てんかん」は含まれていない。
・最近、イミダゾロン誘導体のイメピトイン(ELB138)およびELB139が、GABAA受容体のBZD部位において低親和性の部分アゴニストとして作用することが示され、てんかん治療薬としてイメピトインの開発が進められた。
・イメピトインは、げっ歯類および霊長類のモデルを用いた検討で、多様なけいれん発作に対し耐用量で広い抗けいれん活性を示した。
・イメピトインは、その作用メカニズムから予想されるように、忍容性が不十分で、乱用傾向もみられた。
・イメピトインは、ヒトよりもイヌで好ましい薬物動態プロファイルを示したことから、イヌのてんかん治療薬として開発が進んだ。イヌのてんかんモデルを用いた無作為化対照試験で示された抗てんかん薬としての有効性と高い忍容性、安全性に基づき、最近ヨーロッパでイメピトインがイヌのてんかん治療薬として承認された。
・イヌのてんかんに対するイメピトインの好ましいプロファイルをきっかけに、ヒトのてんかんに対する新たな治療としてBZD受容体部分アゴニストへの関心が再び高まるものと期待される。
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(ケアネット)