難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/03/07 大うつ病性障害(MDD)成人患者は、大半が薬物療法では寛解に至らず、また半数近くが複数の薬物療法に対して抵抗性、非持続性を示す。カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、MDDでの難治性うつ病(TRD)について効果を有する治療法についてレビューを行った。本レビューは、TRDの効果的な治療を検証することで、その定義づけ、エビデンスおよびアルゴリズムアプローチを見直すことを目的としたもの。その結果、MDDの病因の多様性が、多様なTRD治療アプローチを要していることを明らかにした。Journal of Affective Disorders誌2014年3月号の掲載報告。 レビューは、1980~2013年4月を対象に、PubMed、Google Scholarを介して行われた。レビュー対象論文は、著者のコンセンサス、サンプルサイズの適切性、標準化された実験的手法、確立された評価手法、全体的な論文の質に基づき選択された。 主な内容は以下のとおり。 ・従来抗うつ薬に非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピンなど)を併用する強化療法を支持するエビデンスは、TRDのすべての薬理学的アプローチに、広範囲かつ厳密に存在した。 ・新たなエビデンスとして、神経刺激薬(リスデキサンフェタミンなど)ならびに有酸素運動を用いることが示唆された。 ・病原性疾病モデルで提示された治療は、免疫-炎症性ベースの治療法および代謝的介入の有効性について予備的エビデンスを提供した。 ・個別の精神療法がなおオプション治療であり、認知行動療法が最も強いエビデンスを有していた。また、異なる神経刺激薬を用いる治療戦略も、薬物療法や心理社会的介入に対する治療反応が不十分であった患者に対して有用であった。 ・なお、今回のレビューは次の点で限界があった。すなわち、非TRDとの比較におけるTRDの研究が不十分であったこと、TRDに関する臨床研究の大半が薬物治療抵抗性に集中していたこと、当初は心理社会的介入や神経刺激薬への反応がみられなかった患者について「次の選択肢」の評価を行った研究が比較的少なかったこと、があった。 ・以上を踏まえて著者は、「MDD/TRDの病原学的な不均一性により、TRDには力学的に異なり、経験的に確認された治療アプローチが必要となることが判明した」とまとめている。 関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」:産業医大 (ケアネット) 原著論文はこちら McIntyre RS et al. J Affect Disord. 2014 Mar;156:1-7. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)