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統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/19

 

 支援的でポジティブな家族がいることは、統合失調症患者のアウトカムを改善する。一方で、家族が批判的で敵対的あるいは関与が過剰な場合は、アウトカムが不良で再発頻度が高いことが示唆されている。そこで現在、ポジティブ環境を広め、家族間の感情レベルを低減するようデザインされた心理社会的介入が、広く導入されるようになっている。英国・ノッティンガム大学のUzuazomaro Okpokoro氏らは、統合失調症もしくは統合失調症様障害患者の短期的家族介入の効果を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Database Systematic Reviews誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。

 CINAHL、EMBASE、MEDLINE、PsycINFOをベースとするCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを2012年7月時点で検索し、さらに選出した試験の参考文献も調べて試験を検索し、著者と連絡して追加情報も得た。適格とした試験は、統合失調症もしくは統合失調症様障害患者の家族に焦点が当てられ、短期的心理社会的介入と標準ケアとの比較に関連していたすべての無作為化試験であった。試験の選択、質的評価およびデータ抽出は厳格に行われた。バイナリアウトカムについて、標準推定リスク比(RR)とその95%信頼区間(CI)を算出。また連続アウトカムについて、グループ間の平均差(MD)とその95%CIを算出し、主要アウトカムやサマリーに記された所見のエビデンスの質をGRADEにて評価した。なお、包含試験のバイアスリスクについても評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・レビューに組み込むことができたのは、4本の無作為化試験、被験者計163例のデータであった。
・結果、短期的家族介入が、患者の医療サービスの利用を抑制するかどうかは不明であった。
・結果の大半は長期的で不確かなものであり、主要アウトカムとして入院に関するデータを報告していたのは、1試験(30例)のみであった(RR:0.50、95%CI:0.22~1.11、質的エビデンス:非常に低い)。
・また再発に関するデータも、中期的で不確かなものであった(1試験・40例、RR:0.50、95%CI:0.10~2.43、質的エビデンス:低い)。
・一方で、家族アウトカムに関するデータのうち、家族メンバーの理解が短期的家族介入を有意に支持することを示した(1試験・70例、MD:14.90、95%CI:7.20~22.60、質的エビデンス:非常に低い)。
・入院日数、有害事象、服薬コンプライアンス、QOLまたはケアへの満足感、あらゆる経済的アウトカムなどに関するその他のアウトカムデータを報告した試験はみられなかった。
・著者は、「今回、データを抽出した試験の規模および質により、顕著なレビュー結果は得られなかった。分析したアウトカムも極小でメタ解析はできなかった。また、サマリー所見におけるすべてのアウトカムの質的エビデンスは、低い(もしくは非常に低い)ものであった」とした。そのうえで、「しかしながら、需要があり、役立つリソースであるとの現状から、短期的家族介入の重要性は完全に退けられるべきではない」と述べ、「短期介入のデザインは大規模試験でより効果的となるよう修正することが可能であり、同時に臨床現場に十分な影響力をもたらす可能性があるだろう」とまとめている。

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(ケアネット)