統合失調症の陰性症状改善へ、グリシン再取り込み阻害 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/25 統合失調症において、陰性症状の重症度は長期障害の主要な予測因子である。一方、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介したシグナル欠乏は、統合失調症のとりわけ陰性症状に関連する多くの徴候や症状の背景要因であると推察されている。グリシンは、NMDA受容体のコアゴニストとして働くことから、Daniel Umbricht氏らは、NMDA受容体を介したシグナル伝達を増強するうえで、グリシントランスポータータイプ1の阻害は、グリシン再取り込み阻害によりシナプス間隙のグリシン濃度を上昇させるため有効な戦略であると仮定した。そして著者らは、陰性症状が優勢な統合失調症患者を対象とし、グリシン再取り込み阻害薬であるビトペルチン(RG1678)の有効性と安全性を検討した。JAMA誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 著者らは、抗精神病薬服用中で安定状態にある陰性症状が優勢な統合失調症における、同薬の有効性と安全性を明らかにする検討を行った。試験は、世界66の地域において、陰性症状が優勢な統合失調症患者323例を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相概念実証試験。ビトペルチン(10、30または60mg/日)またはプラセボを標準的な抗精神病治療に追加し、8週間投与した。アウトカムは、ベースラインからの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)陰性症状スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。 ・per-protocol集団において、ビトペルチン10-mg/日の8週投与(陰性症状スコアの平均値[SE]減少率:-25%[2%]、p = 0.049)および30-mg/日の8週投与(同:-25%[2%]、p =0 .03)は陰性症状を有意に軽減し、10-mg/日群はプラセボ群と比較して有意に高い有効率と機能改善傾向を示した(同:-19%[2%])。 ・intent-to-treat集団では、傾向を認めた結果は有意に達した。 ・ビトペルチンは、グリシントランスポータータイプ1に低~中等度レベルで結合すると推察され、これが、患者における最適な有効性を導くものと推察された。またこの結果は前臨床試験の結果とも一致した。 ・以上により、ビトペルチンを介したグリシン再取り込み阻害は、統合失調症の陰性症状に対する新しい治療オプションとなる可能性が示唆された。 関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Umbricht D, et al. JAMA Psychiatry. 2014 Apr 2. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)