てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/24 オーストラリア・メルボルン大学のIngrid E. Scheffer氏は、てんかん遺伝学が臨床にもたらした影響に関するレビューを行った。てんかん遺伝学は、てんかんの原因遺伝子が発見されて以降の19年間で変革をもたらしてきた。その結果、実際に多くの患者が診断可能となり、共存症や予後、遺伝カウンセリングに対する医療者の理解を深めるなど、臨床診療に変化がもたらされたという。Neuropediatrics誌2014年4月号(オンライン版2014年3月10日号)の掲載報告。 Scheffer氏は、てんかん遺伝子の発見に関連した臨床分子アプローチ概要について検証した。概要には、家族研究や、より最新の多重遺伝子パネルを用いた次世代シーケンスやwhole exome sequencingなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。 ・最近の研究は、てんかん遺伝学が臨床にどのような変化をもたらしたかを報告していた。 ・とくに注目されている遺伝子は、DEPDC5であった。 ・同遺伝子は、非病変性焦点性てんかんに関する初の遺伝子で、小家族での特発性焦点性てんかん患者の発病に関与している可能性があった。対照的に、常染色体優性焦点性てんかんを有する大家族ではまれであった。 ・DEPDC5は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の陰性レギュレーターで、DEPDC5突然変異を有する一部の患者は、結節性硬化症で示唆された二重衝撃仮説(two hit hypothesis)と類似した、皮質の形成異常を有する可能性があった。 ・てんかん遺伝学の臨床レベルの最も大きな影響は、てんかん性脳症患者に対するもので、多くの新たな突然変異の原因遺伝子が発見されるに至っていた。 ・以上のように、てんかん遺伝学は多くの患者の診断を可能とし、医療者が共存症や予後、遺伝カウンセリングについて理解することに寄与しており、臨床に変化をもたらしていることが示された。 ・遺伝子の発見は、治療選択に影響を与える可能性があるという点で重大であった。 ・分子レベルでの新たな洞察は、新たな治療法の開発に結びつく可能性がある。また、非病変性てんかんと、皮質形成異常に関連したてんかんとを遺伝学的にまとめることにもなる可能性があった。 関連医療ニュース てんかん患者の精神疾患有病率は健常人の8倍 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 (ケアネット) 原著論文はこちら Scheffer IE. Neuropediatrics. 2014; 45: 70-74. Epub 2014 Mar 10. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)