脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/05/06 脳血管性認知症(VaD)患者ではBPSD(認知症の行動・心理症状)の発現により頻繁に非定型抗精神病薬が使用されているが、VaDにおける有効性や安全性に関するエビデンスは不十分である。英国・ロンドン大学のJ Sultana氏らは、VaD患者における非定型抗精神病薬と死亡リスクとの関係を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2014年3月14日号の報告。 対象は、南ロンドンおよびモーズリーNHS財団トラストの電子カルテより抽出した1,531例のVaD患者のうち、2007~2010年にクエチアピン、リスペリドン、オランザピンを使用した337例。主要評価項目は死亡とした。なお、本研究はこれらの薬剤を使用していない患者と比較し、検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・非定型抗精神病薬が使用された患者において、死亡リスクの増加は認められなかった(ハザード比[HR] 1.05、95%信頼区間[95%CI]:0.87~1.26)。 ・リスペリドン使用患者では死亡リスクは増加しなかった(HR 0.85、95%CI:0.59~1.24)。 ・クエチアピン使用患者では、未治療患者と比較し死亡リスクの有意な上昇は認められなかった(HR 1.14、95%CI:0.93~1.39、p=0.20)。 ・オランザピンは患者数が少なく、信頼性の高い結果を得ることができなかった。 ・本研究では、VaD患者に対する非定型抗精神病薬の使用は、死亡リスクの有意な増加を示さなかった。今後、VaD患者の攻撃性や興奮に対する抗精神病薬による治療のさらなる研究が進み、抗精神病薬による治療の役割を明確にすることが重要である。 関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sultana J, et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2014 Mar 14.[Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)