期待の新規不眠症治療薬、1年間の有効性・安全性は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/05/23 新規不眠症治療薬スボレキサント(MK-4305)の1年間にわたる治療について、おおむね安全であり忍容性も良好で、自覚的な睡眠導入で評価した有効性もプラセボと比較して有意であったことが示された。米国メルク社のDavid Michelson氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。スボレキサントはオレキシン受容体阻害薬で、先行研究において治療3ヵ月間の有効性は示されていた。Lancet Neurology誌2014年5月号の掲載報告。 本検討で研究グループは、スボレキサントの1年間の治療期間中およびその後の臨床プロファイルを評価することを目的とした。試験は2009年12月~2011年8月の間、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、南アフリカの106の治験施設で行われた。 被験者は、DSM-IV-TR適格基準で原発性不眠症と診断された18歳以上の患者であった。コンピュータによる無作為化(2対1)を受けた被験者は、スボレキサントを毎晩投与(65歳未満患者40mg、65歳以上患者30mg)もしくはプラセボ投与の治療を1年間受けた。その後2ヵ月間の中断期間を経て、スボレキサント投与群は引き続きスボレキサントの投与を受けるかプラセボに突然切り替えられた。プラセボ投与群はそのままプラセボ投与を受けた。治療割り付けについては患者、治験担当医ともに知らされなかった。 主要目的は、最長1年間のスボレキサントの安全性と忍容性を評価することであった。副次目的は、スボレキサントの有効性で、患者の報告に基づく治療開始1ヵ月間の、主観的な総睡眠時間(sTST)および主観的な睡眠導入までの時間(sTSO)の改善で評価した。治療開始1ヵ月間の有効性のエンドポイントは、ベースライン時の治療反応変数の条件(年齢、性別、試験地、治療、期間、時間相互作用別治療)に基づく混合モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・1年間の試験相を完了したのは、スボレキサント治療に割り付けられた522例のうち322例(62%)、プラセボは259例のうち162例(63%)であった。 ・1年間において、スボレキサント群では521例のうち362例(69%)がさまざまな有害事象を報告した。プラセボ群では258例のうち164例(63%)が報告した。 ・重大有害事象は、スボレキサント群では27例(5%)、プラセボ群では17例(7%)が報告された。 ・両群に共通した最も頻度が高かった有害事象は傾眠で、報告数は、スボレキサント群は69例(13%)、プラセボ群は7例(3%)であった。 ・1ヵ月時点の有効性は、スボレキサント群がプラセボ群よりも有意に高いことが示された。 ・有効性評価の被験者数は、スボレキサント群517例、プラセボ群254例であった。 ・1ヵ月時点のsTST改善は、それぞれ38.7分vs. 16.0分(差:22.7分、95%信頼区間[CI]:16.4~29.0、p<0.0001)だった。 ・同sTSO改善は、-18.0分vs. -8.4分(差:-9.5分、95%CI:-14.6~-4.5、p=0.0002)だった。 関連医療ニュース 睡眠薬、長期使用でも効果は持続 自殺と不眠は関連があるのか 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは (ケアネット) 原著論文はこちら Michelson D, et al. Lancet Neurol. 2014; 13: 461-471. Epub 2014 Mar 27. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)