複数の心血管リスク因子が、認知症やアルツハイマー型認知症(AD)のリスクを増大することが知られるが、心臓疾患が及ぼす影響については不明なままであった。東フィンランド大学のMinna Rusanen氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、高齢期の心臓疾患は、その後の認知症やADリスクを増大することが明らかにされた。結果を受けて著者は、「心臓疾患の予防と効果的な治療は、脳の健康や認知機能維持の観点からも重要であると考えられる」とまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年5月13日号の掲載報告。
研究グループは、認知症やADの長期リスクについて、中高年期の心房細動(AF)、心不全(HF)、冠動脈疾患(CAD)との関連を調べるため、住民ベースのコホート研究CAIDE(Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia)のデータを分析した。CAIDEには、4期(1972、1977、1982、1987年)にわたって無作為に選択された住民合計2,000例が参加。被験者は、25年超後の1998年と2005~2008年の2期に追跡調査を受けていた。
主な結果は以下のとおり。
・研究参加者2,000例のうち1回以上の追跡調査を受けていたのは、1,510例(75.5%)であった。そのうち認知症との診断を受けていたのは、127例(8.4%)であった。
・全因子補正後の分析の結果、高齢期のAFは、認知症(ハザード比[HR]:2.61、95%信頼区間[CI]:1.05~6.47、p=0.039)、AD(同:2.54、1.04~6.16、p=0.040)の独立リスク因子であった。
・アポリポ蛋白E(APOE)ε4を有していない人では、同関連はより強かった。
・高齢期HFについても同様にリスクを増大する傾向がみられた。CADではみられなかった。
・中年期診断の心臓疾患は、その後の認知症やADリスク増大と関連していなかった。
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(ケアネット)