マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/06/04 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 Mg2+はNMDA受容体の活性を抑制することが示されていたが、食事で摂取するMg2+が、脳内のNMDA受容体複合体に影響を及ぼすのかについては明らかになっていなかった。研究グループはマウスを用いて、食事性MgRが、脳内のNMDA受容体サブユニット構造体の変化を誘発し、NMDA受容体調節機能を変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・MgRは、GluN1を含むNMDA複合体の扁桃体-視床下部タンパク質量の減少と関連していることが示され、うつ病様行動強化を誘発したことが明らかになった。 ・食事で摂取するMg2+の減少によるGluN1 mRNA値の変化はみられず、転写後の変化は認められなかった。 ・タンパク質同士の相互作用の可能性を明らかにするために、GluN1の免疫沈降法およびPLA(proximity ligation assays)を行った。予想されたGluN1サブユニットとGluN2A、GluN2Bの関連が明らかになり、また既知の下流シグナルタンパク質に加えて新たにGluA1、GluA2との相互作用も明らかになった。 ・MgRマウスへのパロキセチン長期投与は、強化されたうつ病様行動を正常化したが、GluN1を含むNMDA受容体量は変化せず、NMDA受容体の下流にターゲットがあることが示された。 ・現時点のデータから、食事性MgRは脳のGluN1ほかGluN2A、GluN2B、AMPA受容体GluA1、GluA2といくつかのプロテインキナーゼなどを含むNMDA受容体複合体量を変化させたことが示された。 ・これらのデータは、食事性Mg2+摂取の調節が、MgRにより誘発・強化されたうつ病様行動との関与を示す受容体複合体の機能とシグナルを変化しうることを示すものであった。 関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 小児ADHD、食事パターンで予防可能か NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Ghafari M, et al. Brain Struct Funct. 2014 May 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)