抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/06/27 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。 研究グループは、精神疾患患者を対象として、骨状態の進行を正確に予測できる骨代謝マーカーを用いて試験を行った。被験者(統合失調症患者167例、健常対照60例)のプロラクチン、エストラジオール、テストステロン、骨吸収マーカー(TRACP-5b)を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者は健常対照と比較して、プロラクチン値が有意に高値であり、TRACP-5b値は有意に低値であった。 ・さらに、すべての男性被験者群および男性患者において、プロラクチンとエストラジオールおよびテストステロンとの間に、負の関連性が認められた。 ・TRACP-5bは、女性患者ではプロラクチンと正の関連性が、すべての女性被験者群ではエストラジオールと負の関連性が認められた。 ・骨吸収率は、健常対照と比べて患者のほうでかなり低かったことが示され、統合失調症患者におけるBMD低下の原因は複雑であることが示唆された。 ・本研究によりキーとなる因子間でいくつかの意味がある関連が確認された。すなわち高プロラクチン血症が性ホルモンの抑制を誘発し、高骨代謝に結びついている可能性が示された。 ・これらの結果を踏まえて著者は、「骨吸収マーカーであるTRACP-5b測定が、BMD低下の病理を明らかにするのに役立つ可能性があることが示唆された」とまとめている。 関連医療ニュース 統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当? 抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Okita K, et al. Schizophr Res. 2014 May 30. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科2(2014/06/11) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) シンポジウム「最小侵襲脊椎安定術MISt」第20回記念 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会より(2013/10/08) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)