うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/07/16 自殺者の90%以上に気分障害がみられること、また気分障害の自殺傾向に対する遺伝的脆弱性が先行研究により確立されている。オーストリア・ウィーン大学のLaura Carlberg氏らは、cAMP応答配列結合タンパク(CREB1)の一塩基多型(SNPs)と自殺リスクならびに大うつ病性障害(MDD)患者における自殺企図歴との関連を検討した。その結果、多重検定補正後のデータにおいて、CREB1 single markerおよびハプロタイプのいずれの解析においても、自殺リスクや自殺企図歴との間に確たる関連を認めることができなかったことを報告した。International Journal of Neuroscience誌オンライン版2014年6月23日号の掲載報告。 研究グループは、CREB1 SNPsと自殺リスクならびにMDD患者における自殺企図歴との関連を検討した。ヨーロッパ多施設うつ病研究に登録されており、抗うつ薬を4週間以上投与されたMDD患者250例のサンプルを用い、5つのCREB1 SNPs(rs2709376、rs2253206、rs7569963、rs7594560、rs4675690)に遺伝子型を分けた。精神疾患簡易構造化面接法(MINI)およびハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて自殺傾向を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・多重検定補正後、CREB1 single markerおよびハプロタイプのいずれにおいても、自殺リスクや自殺企図歴との間に関連は認められなかった。 ・女性においてrs2709376と自殺企図歴の間に関連が認められたが(p=0.016)、多重検定補正後には確認されなかった。 ・女性のMDD患者において、CREB1 single markerと自殺企図歴との間に有意な関連を認めたが、多重検定補正後のハプロタイプ解析では確認されなかった。 ・女性のMDD患者におけるCREB1と自殺企図が関連する可能性を確認および明確にするためには、より大規模かつ明確に定義されたコホートによる検討が求められることが示唆された。 関連医療ニュース 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか (ケアネット) 原著論文はこちら Carlberg L, et al. Int J Neurosci. 2014 Jun 23: 1-20. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大 医療一般 日本発エビデンス(2020/06/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)