60歳超の高齢で発症する統合失調症様症状(VLOSLP)患者は、とくに男性において、早期発症(60歳未満)患者と比べて死亡リスクが高いことが示された。また、この結果は、身体合併症および事故で説明しうることも明らかにされた。フィンランド・ヘルシンキ大学中央病院のTiina Talaslahti氏らが、65歳以上患者を10年超追跡した試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「これら患者の死亡率を低減するためには、精神科ケア・プライマリケア・専門的身体ケアの効果的なコラボレーションによる目標を定めた臨床的介入が重要である」と提言している。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年7月2日号の掲載報告。
研究グループは、60歳超でVLOSLPを診断された患者の死亡率と死亡原因について、性別と年齢で適合したフィンランド一般住民と比較。また、VLOSLP患者の標準化死亡比(SMR)を早期発症(60歳未満)群と比較し、さらに両群患者間の死亡ハザード比も算出した。データは、フィンランド国家レジストリから入手し、1999年1月1日時点で65歳以上であったVLOSLP患者と早期発症患者について、1999~2008年の10年間の死亡を追跡した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者は、VLOSLP群918例、早期発症群6,142例であった。
・全体のSMRは、VLOSLP群は5.02(4.61~5.46)、早期発症群は2.93(2.83~3.03)であった。
・男性のSMRは、VLOSLP群は8.31(7.14~9.62、179例)、早期発症群は2.91(2.75~3.07、1,316例)であった。
・女性のSMRは、VLOSLP群は4.21(3.78~4.66、364例)、早期発症群は2.94(2.82~3.07、2,055例)であった。
・SMRはVLOSLP群において、大半の死因カテゴリー(事故、呼吸器疾患、認知症、腫瘍、循環器疾患など)で高値であった。
・しかしながら、これらのVLOSLP群と早期発症群の差は、いくつかの変数を補正後の直接比較では、わずかなものであった(ハザード比:1.16、95%信頼区間[CI]:1.05~1.27、p=0.003)。
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