高齢統合失調症、遅発性ジスキネジアのリスク低 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/08/06 高齢患者に対するオランザピンvs. 旧来の抗精神病薬治療による遅発性ジスキネジアの発生率は、それぞれ2.5%、5.5%と低率で有意差もみられなかったことが、米国のBruce J. Kinon氏らが行った検討の結果、報告された。これまで55歳以上を対象とした比較試験は行われていたが、今回の検討は、平均年齢78歳、約8割が認知症を有する高齢患者を対象に行われたものである。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。 遅発性ジスキネジア(TD)を有さない患者を、オランザピン投与群(2.5~20mg/日、150例)と旧来の抗精神病薬投与(CNV)群(各ラベル用量、143例)に無作為に割り付け、6週間の漸減/導入期間後、最長1年間治療を行った。 主要アウトカムのエンドポイントは、アプリオリに定義した持続性TDで、異常不随意運動評価尺度(Abnormal Involuntary Movement Scale:AIMS)でスコア2(1~7項目のうち2項目以上で)または3以上(同1項目以上で)が1ヵ月以上続く場合とした(基準A)。また事後解析では、中等度(1項目以上でスコア3以上が1ヵ月間持続;基準B)と定義した持続性TDの評価、およびAIMSスコアの上昇(基準A、B)が1ヵ月間持続しなかったprobable TDの評価を行った。治療群間の比較にはKaplan-Meier法が用いられ、log-rank検定も行われた。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者の平均年齢は78歳であり、多くが認知症と診断されていた(オランザピン群76.7%、CNV群82.5%)。 ・CNV群の患者のうち40.6%が、ハロペリドールを投与されていた。 ・持続性TD発症については、治療群間で有意差はみられなかった。累積発生率はオランザピン群2.5%(95%信頼区間[CI]:0.5~7.0)、CNV群5.5%(同:2.1~11.6)であった(p=0.193)。 ・曝露量で補正後のイベント発生率も、治療群間で有意差は示されなかった。オランザピン群は100人年当たり2.7、CNV群は同6.3で、率比は0.420(95%CI:0.068~1.969)であった。 ・事後解析の結果、オランザピン治療群における、1ヵ月間持続している中等度の持続性TD(p=0.012)、および1ヵ月間持続しなかったprobable TD(基準Aのp=0.030、基準Bのp=0.048)のリスクは、有意に低いことが示された。 ・ベースライン時に顕著な錐体外路症状がない患者については、CNV治療群のほうが、オランザピン治療群よりも、治療によりパーキンソニズムが発現した患者が有意に多かった(CNV群70%[35/50例]、オランザピン群44%[25/57例]、p=0.011)。 ・治療により出現したアカシジアについては、治療群間の有意差はみられなかった(CNV群6%[7/117例]、オランザピン群10%[13/130例]、p=0.351)。 関連医療ニュース 遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学 遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見 高齢発症の統合失調症様症状、死亡リスク高 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Kinon BJ, et al. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2014 Jul 9. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 遅発性ジスキネジア治療剤の新薬ジスバルカプセル40mg発売/田辺三菱 医療一般(2022/06/14) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)