統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/08/13 臨床診療および臨床試験では、統合失調症患者に対してベンゾジアゼピン系薬が処方されている。それらの臨床アウトカムについて、英国キングス・カレッジ・ロンドンのFaye Sim氏らは調査を行った。その結果、総合的、精神医学的、行動学的アウトカムについてプラセボより優れていたが、より長期の総合的なアウトカムについて抗精神病薬よりも劣性であることが判明したことを報告した。また、抗精神病薬との併用に関しては相反するエビデンスが存在していた。これらの結果を踏まえて著者は、「臨床および臨床試験におけるベンゾジアゼピン系薬の使用は制限すべきであろう」と結論している。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2014年7月21日号の掲載報告。 システマティックレビューにて、ベンゾジアゼピン系薬とプラセボまたは抗精神病薬を比較評価していた無作為化試験、および抗精神病薬への併用について検討していた無作為化試験を特定し、関連臨床アウトカムデータを抽出して分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・分析には26件の試験を組み込んだ。いくつかの報告は多重比較を含むものであった。 ・ベンゾジアゼピン系薬とプラセボの比較試験は、短期試験の7件で行われていた。 ・そのうちベンゾジアゼピン系薬の優越性について、5試験中2件で総合的な改善が報告されており、また4試験中2試験で、精神医学的/行動学的アウトカムについて優れているとの報告がみつかった。 ・ベンゾジアゼピン系薬と第一世代抗精神病薬(FGA)を比較した試験は、11件であった。 ・そのうち抗精神病薬よりもベンゾジアゼピン系薬の総合的な改善が大きかったことが報告されていたのは、9試験中4試験(2件は長期試験)であった。 ・一方で精神医学的/行動学的アウトカムについては、5試験中4試験において治療間の差は示されていなかった。 ・ベンゾジアゼピン系薬(抗精神病薬への追加療法として)vs. 抗精神病薬(大半はFGA)を比較した試験は14件であった。 ・そのうちベンゾジアゼピン系薬の優越性について、総合的な改善が示されたと報告されていたのは8試験中1件で、劣性であることが示されていたのは8試験中2件であった。 ・一方で、精神医学的/行動学的アウトカムについての優越性は12件の短期試験のうち3件で示され、非劣性も12試験中3件で報告されていた。 関連医療ニュース 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Sim F, et al. J Psychopharmacol. 2014 Jul 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性が示唆された 医療一般(2018/11/20) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)