軽度認知障害のPET検出、実用化への課題は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/08/14 アルツハイマー型認知症に起因するMCIの診断能は、アルツハイマー型認知症の診断基準として知られるNINCDS-ADRDA最新版に従い、画像バイオマーカーを使用することで上昇している。しかし、バイオマーカーの精度に関する系統的な評価は行われていなかった。中国医科大学のShuo Zhang氏らは、軽度認知障害(MCI)を検出する手段として11C-labelled Pittsburgh Compound-B(11C-PIB)リガンドを用いたPET検査の有用性をメタ解析により検討した。その結果、いくつかの試験で良好な感度が示されたが、方法やデータの解釈が標準化されていないことも明らかになった。解析結果を踏まえて著者は、「現段階では、実臨床において日常的に使用することは推奨できない」と述べ、「11C-PIB-PETバイオマーカーは高価な検査である。その普及に際しては精度ならびに11C-PIB診断方法のプロセスを明確かつ標準化することが重要である」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2014年7月23日号の掲載報告。 研究グループは、バイオマーカーの1つである11C-PIBリガンドを用いたPET検査の感度、特異度およびその他の特徴に関する系統的な評価を行い、一定期間中にアルツハイマー型認知症またはその他のタイプの認知症に移行すると思われるMCI患者を検出するうえでの、11C- PIB-PETスキャンの診断精度を明らかにした。 2013年1月12日時点でMedline、Embase、Biosis Previewsなどをソースとして論文を検索。言語や試験時期、方法論についても限定せず、ベースライン時の11C-PIB-PETスキャンでMCIとの診断を受けた患者が参加していた前向きコホート試験(NINCDS-ADRDAまたはDSM-IVなどの参照基準を用いていた試験のみ)を適格とした。データの抽出、評価は2名のレビュワーが独立して行った。 主な結果は以下のとおり。 ・MCIからアルツハイマー型認知症への移行を評価した試験は9件あったが、エビデンスの質は限定的であった。メタ解析には274例を組み込み、そのうちアルツハイマー型認知症を発症していたのは112例であった。 ・9件の試験から、アルツハイマー型認知症への移行率は中央値で34%であった。 ・PIBスキャンの方法および解釈については、試験間で著明な違いがみられた。 ・感度は83~100%、特異度は46%~88%であった。 ・11C-PIB によるアミロイド沈着の測定法や判定基準が試験間で異なっていたため、感度と特異度について一定の結果を導くことができなかった。 ・11C-PIB-PETスキャンの強弱を正確に描出できなかったが、ROC曲線に基づき感度96%(95%信頼区間[CI]:87~99)、特異度58%であると推測した。陽性尤度比2.3、陰性尤度比0.07に相当するものであった。 ・MCIからアルツハイマー型認知症への移行率が 34%と仮定した場合、PIBスキャン100件につき、陰性例1例がアルツハイマー型認知症に移行、陽性例28例が実際にはアルツハイマー型認知症に移行しないと推定された(試験の不均一性のためデータは限定的なものである)。 ・2件の感度解析を行い、参照基準の種類ならびに事前に規定された閾値による影響を評価したが、影響は認められなかった。 関連医療ニュース たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 軽度認知障害に有効な介入法はあるのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Zhang S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014; 7: CD010386. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)