がん生存率の動向~日本含む67ヵ国2,570万例のデータ/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/10

 

 CONCORDワーキンググルーブでは、1995~2009年における67ヵ国のがん登録データを調査し、がん種別、国・地域別、期間別に5年生存率を推定した結果を報告した。生存率の大きな違いは、早期診断と最適な治療へのアクセスの差による可能性が高い。著者らは、「継続的な世界的サーベイランスは、がん患者と研究者において不可欠な情報源となり、また保健政策と医療システム改善のための政治家への刺激となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月26日号に掲載。

 本サーベイランスには、67ヵ国279集団のがん登録から、1995~2009年にがんと診断され、2009年12月31日以降まで追跡された成人(15~99歳)2,570万例および小児(0~14歳)7万5千例の記録が提出された。ワーキンググループは、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がん(女性)、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん(成人)、白血病(成人・小児)について、年齢(1歳毎)、性別、暦年、人種や民族(一部の国において)によって調整した5年生存率を推定した。計算にあたっては、年齢で調整した生存率計測のための世界標準人口(International Cancer Survival Standard)に沿って行った。

 2005~2009年に診断された各がん患者における5年生存率は以下のとおり。

【結腸がん・直腸がん・乳がん】
ほとんどの先進国で着実に上昇している。結腸がん・直腸がんでは22ヵ国で60%以上に達し、乳がんでは17ヵ国で85%以上に上昇した。
【肝臓がん・肺がん】
すべての国で低いままである。ヨーロッパではどこの国も20%未満、北米では15~19%、モンゴルとタイでは7~9%と低い。
【前立腺がん】
多くの国で著しく上昇した。南米、アジア、ヨーロッパの22ヵ国で、1995~1999年から2005~2009年の間に10~20%上昇した。しかし、ブルガリアやタイでは60%未満、ブラジルやプエルトリコ、米国では95%以上と、国によって開きがある。
【子宮頸がん】
50%未満から70%以上と地域によって大きな差がある。1995~1999年から2005~2009年の間の改善はわずかである。
【卵巣がん】
エクアドル、米国、アジアおよびヨーロッパの17ヵ国のみ、40%以上であった。
【胃がん】
他の国が40%未満であるのに比べて、日本(54.0%)と韓国(57.9%)が高かった。
【成人白血病】
胃がんと対照的に、日本(18.9%)と韓国(23.4%)が他のほとんどの国に比べて低かった。
【小児急性リンパ芽球性白血病】
いくつかの国で60%未満だが、カナダ、欧州の4ヵ国では90%と高い。

(ケアネット 金沢 浩子)