うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/15

 

 藤田保健衛生大学の島崎 愛夕氏らは、大うつ病性障害(MDD)のリスク遺伝子を明らかにするため、遺伝子と外的環境との相互作用を考慮に入れた解析を実施した。その結果、双極性障害(BD)に関連する一塩基多型(rs7296288、DHH下流の12q13.1領域)とMDDのうつ症状との間の有意な関連を報告した。PLoS One誌2014年12月17日号の掲載報告。

 これまで複数のゲノムワイド関連解析(GWAS)により、統合失調症(SCZ)やBDに関連する多数の感受性遺伝子が同定されてきた。しかし、MDDのリスク遺伝子については、MDDの発症が環境要因により強く影響されることから、その同定は順調に進んでいない。そこで、遺伝子と、ストレスを与えるライフイベント(SLEs)のような外的環境との相互作用(G×E)を考慮した解析が必要となる。本研究では、ケースコントロールデザインを用い、G×E相互作用と、主要な症状であるうつ症状の誘因となる遺伝子について評価した。

 病院スタッフ922例を対象とし、ベックうつ病尺度(BDI;10点以上を「うつ症状群」、10点未満を「対照群」に分類)によるうつ症状、SLEs、性格を評価した。すでに実施されているMDD、SCZ、BDのGWASおよび候補遺伝子(SLC6A4BDNFDBHFKBP5)の研究から、合計63の遺伝的変異体を選択した。

 主な結果は以下のとおり。

・ロジスティック回帰分析の結果、rs4523957とうつ症状との間に、わずかに有意な相互作用(遺伝的変異体×SLE)が示された(Puncorrected = 0.0034)。
・BD GWASにより同定された一塩基多型(rs7296288、DHH下流の12q13.1領域)と、主な症状としてのうつ症状との間に有意な関連が示された(Puncorrected = 9.4×10-4、Pcorrected = 0.0424)。
・以前より報告されていたように、SLEsがうつ症状に大きく影響することも確認した(オッズ比:~3)。
・本研究から、DHHがうつ症状の発症原因の一端を担っている可能性が示唆された。しかしMDD、SCZのGWASにより明らかとなった遺伝子変異や候補遺伝子とSLEsとの間に、うつ症状に関しての有意な関連性あるいは相互作用による影響は認められなかった。

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(ケアネット)