産前うつは、母体と胎児のどちらに対しても身体的、精神的な悪影響を及ぼす可能性がある。産前うつに対するヨガの有効性を明らかにするため、中国・第二軍医大学のHong Gong氏らは、6件の無作為化対照試験(RCT)の妊婦375例を対象に、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、呼吸法や瞑想を通して深いリラックスを促すタイプのヨガにより、うつが軽減されることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年2月5日号の掲載報告。
本検討では、産前うつマネジメント介入としてヨガの効果を評価した。2014年7月までに本件に関して報告のあったすべての試験を、PubMed、Embase、Cochrane Library、PsycINFOを用いて検索し、RCTのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・システマティックレビューの対象として6件のRCTを特定した。
・対象は妊婦375例で、大半が20~40歳であった。
・うつ病の診断は、DSM-IV構造化臨床面接およびCES-D(うつ病自己評価尺度)のスコアに基づいて行った。
・ヨガ群は、対照群(標準的産前ケア群、標準的産前エクササイズ群、ソーシャルサポート群など)と比較し、うつレベルの有意な低下が認められた(標準化平均差[SMD]:-0.59、95%信頼区間[CI]:-0.94~-0.25、p=0.0007)。
・1群のサブグループ解析において、産前うつ女性および非うつ女性のいずれも、ヨガ群では対照群と比べうつ症状レベルが有意に低いことが示された(産前うつ女性SMD:-0.46、95%CI:-0.90~-0.03、p=0.04 / 産前非うつ女性SMD:-0.87、-1.22~-0.52、p<0.00001)。
・また、2種類のヨガ、すなわち「身体的運動を中心とするヨガ」と、それに加えて「ヨガの呼吸法(pranayama)や瞑想、深いリラックスを促す統合ヨガ」の産前うつに対する効果を予測するサブグループ解析も行った。
・その結果、統合ヨガ群でうつレベルの有意な低下が示された(SMD:-0.79、95%CI:-1.07~-0.51、p<0.00001)。身体的運動を中心としたヨガ群では有意な低下は認められなかった(同:-0.41、-1.01~0.18、p=0.17)。
・妊婦における産前のヨガ運動は、うつ症状の部分的軽減に有効な可能性が示唆された。
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