統合失調症の治療成績にD2/3結合能は影響するか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/03/18 これまでの統合失調症研究で確認された最も優れた知見の1つが、陽性症状におけるドパミンD2受容体遮断と抗精神病薬効果の関連性である。デンマーク・コペンハーゲン大学のSanne Wulff氏らは、統合失調症初回エピソード未治療患者における線条体D2/3結合能(BPp)と治療アウトカムの相関性について調べた。結果、両者間の相関性を確認し、低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であること、またドパミン受容体遮断が高レベル時に機能が低下する可能性がある示唆が得られたことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年2月18日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症初回エピソードの抗精神病薬未治療患者集団で、ベースライン時の線条体D2/3受容体BPpと治療アウトカムとの相関性を調べることが目的であった。また、線条体ドパミンD2/3受容体遮断と陰性症状の変化および機能、主観的幸福感との関連についても調べた。線条体D2/3受容体BPpは、123I-IBZM-SPECT法による画像診断にて調べた。被験者は、D2/3受容体拮抗薬アミスルピリドによる6週間の治療の前後に評価を受けた。 主な結果は以下のとおり。 ・研究には、抗精神病薬未治療の統合失調症患者28例と対照26例が含まれた。 ・全患者群において、ベースライン時の線条体D2/3受容体BPpと陽性症状改善には負の相関が認められた。 ・さらに、治療に反応した患者は反応しなかった患者と比べて、ベースライン時のBPpが有意に低かった。 ・フォローアップ時に患者は、遮断と機能について負の相関を示した。しかし、遮断と陰性症状、主観的幸福感については関連がみられなかった。 ・以上、統合失調症初回エピソードの抗精神病薬未治療患者において、ドパミンD2/3受容体の線条体BPpと治療反応には相関性があることが認められた。 ・低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であった。 ・結果はさらに、ドパミン受容体遮断の高レベル時に機能が低下する可能性があることを示唆するものであった。 関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症治療、ドパミンD3の可能性は セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Wulff S, et al. Schizophr Bull. 2015 Feb 18. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)