米国糖尿病協会(ADA)は2004年に、小児および青少年について、第2世代抗精神病薬の治療開始前後に代謝スクリーニングを実施することを推奨する治療ガイドラインを発表した。これに関連し、ブリガム&ウィメンズ病院のJohn G. Connolly氏らは、ガイドライン発表時期とその後8年間のスクリーニング実施率の変化を調べ、ガイドライン発表後はわずかに実施率が上昇したが、その後は低下していたことを明らかにした。先行研究で、ガイドライン公表時期に小児および成人の血糖検査がわずかだが増大していることが報告されていたが、その後についての報告は限定的であった。Psychiatr Services誌オンライン版2015年3月1日号の掲載報告。
研究グループは、全米をカバーする大規模民間保険の支払データベースで、2003年1月1日~2011年12月31日の期間中に5万2,407例の試験患者を特定した。試験集団は、第2世代抗精神病薬を使用する5~18歳の非糖尿病集団であった。アメリカ医師会(AMA)独自の診療コーディングCPT(Current Procedural Terminology)-4により、同薬服用開始前後に血糖値検査およびHbA1c検査完了の有無を特定した。また、処方されていた第2世代抗精神病薬、および精神科の診断ごとの代謝スクリーニング実施率についても調べた。
主な結果は以下のとおり。
・第2世代抗精神病薬の治療開始前に血糖値検査を受けていた患者の割合は、2003年17.9%から2004年18.9%に増大していた。同時期に、治療開始後の検査は14.7%から16.6%に増大していた。
・これら血糖値検査のわずかな増大は、その後は継続していなかった。2008年に再上昇がみられたが、それまでの期間は低下していた。
・血糖スクリーニングの頻度は、アリピプラゾール服用患者で最も高かった。一方、多動障害を診断された患者の検査頻度が、最も低いと思われた。
・HbA1c検査の実施頻度は、より低かったが、実施パターンについては類似していた。
・以上のように、2004年のADAガイドライン発表後、代謝スクリーニング実施率はわずかに改善していたが、継続していなかったことが明らかになった。
・全体として、代謝スクリーニング率は調査対象期間中、最適には及ばない基準で推移していた。
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