第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/14

 

 抗精神病薬は作業記憶(ワーキングメモリ)での重要な鍵の役割を担う神経伝達物質システムをターゲットとしている。それゆえに、抗精神病薬はこれらの神経伝達物質受容体での働きを介して、認知機能を調整することが期待されている。しかし、作業記憶に対する抗精神病薬の正確な作用は、明らかにされていない。英国キングス・カレッジ・ロンドンのRhianna Goozee氏らは、機能的MRI研究を行い、健常者の作業記憶中における脳活性化について、ハロペリドールとアリピプラゾールの1回投与での即時および特異な作用を立証した。結果を踏まえて著者は、「正確なメカニズムは不明だが、このハロペリドールとアリピプラゾールの作用の違いが、異なる受容体親和性プロファイルを反映する可能性が示唆される」とまとめている。Schizophrenia Research誌2015年3月13日号(オンライン版2015年2月23日号)の掲載報告。

 研究グループは、健常者17人を対象に、N-back課題を使用して、作業記憶能に関する2つの抗精神病薬の効果を調べるため、完全にバランスの取れた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。参加者は3回にわたって、プラセボ、ハロペリドール、アリピプラゾール(順不同)の投与下において、機能的MRI検査を受け、それぞれの状態での作業記憶能を検査した。そして、主な作業記憶能と線形負荷を調べるために、神経活性化の図解はランダム効果一般線形回帰分析で考察した。各介入で脳活性化の変化領域を得るため、ボクセル・ワイズと関心領域(ROI)分析を実施した。

 結果は以下のとおり。

・アリピプラゾールは、プラセボと比較して神経活性化の変化にはつながらなかった。しかし、正しい反応への反応時間はプラセボ(p=0.046)とハロペリドール(p=0.02)の両方と比較して、アリピプラゾールでは有意に増加した。
・アリピプラゾールとは対照的に、プラセボと比較して、ハロペリドールは頭頂部(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.005;FWE-corr. right:p=0.007)と前額部(前頭葉を含む;BA9/44/46;left:FWE-corr. p=0.009;right:FWE-corr. p=0.014)の各大脳皮質と、左被殻(FWE-corr. p=0.004)の活性化を遅らせた。
・ハロペリドールは、アリピプラゾールと比較すると、頭頂皮質(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.034;right:FWE-corr. p=0.045)と左被殻(FWE-corr. p=0.015)の活性化を遅らせた。
・ハロペリドールはプラセボと比較して作業記憶パフォーマンスへの影響はなかった。

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(ケアネット)