精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/24 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。 研究グループは、PDの存在が術前VEEGの禁忌となりうるか否かを明らかにするため、ブラジル内のてんかん専門センターの協力を得て、後ろ向きコホート研究を実施した。術前評価の1つとしてVEEGが施行された患者41例の臨床的、社会人口学的、精神医学的データを、VEEGを実施しなかった難治性TLE-MTS患者32例のデータと比較した。精神障害の診断はDSM-IV 分類および国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・34例(46.6%)が精神障害ありと診断され、大うつ病性障害が最も高頻度で22例(30.1%)に、不安障害が14例(19.2%)に認められた。 ・術前VEEGを施行した41例のうち、術前精神評価でPDが確認されたのは12例(29.2%)にとどまった。一方、VEEG非施行例32例では22例(68.7%)にPDが確認された(p=0.001、RR:2.35)。 ・VEEG施行例に比べ、むしろVEEG非施行例でPDの割合が有意に高い結果が示された。 結果を踏まえ著者らは、「PDの存在のみで、VEEGモニタリングおよびてんかん手術が禁忌と考えるべきでないことが示唆された」と述べている。 関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら de Araujo Filho GM, et al. Epilepsy Behav. 2015;45:35-38. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)